◆うなぎを食べると祟りが起きる?
ーー「鰻」を食べたことはありますか?鰻和弘:うちは代々、うなぎを神様として祀っているので「食べられない」のもキツいですね。食べると、うなぎの祟りが起きるっていわれて育ってきました。
ーー祟り!?
鰻和弘:実際、うなぎを食べた先祖が2人ほど亡くなっていると聞いています。兄貴が、「そんなの迷信だ!」って言って、「うなぎパイ」を食べたことがあったんですが、泡吹いて倒れたんですよね。
ーー「祟りマジじゃん!」と思うと同時に、うなぎパイにするあたり、お兄様も少しビビりながらですね(笑)。
鰻和弘:そうなんですよ。でも、うなぎパイもうなぎのエキスが少し入っているから、ダメだったんですかね。
ーーどこの地域の神様ですか?
鰻和弘:鹿児島県指宿で、鰻姓の発祥はそこなんですよ。昔、オオウナギが池から出て来て、村への災害を防いだことから、神様になっているらしいです。祠みたいな小さなものですが「鰻神社」も実際にあって、僕もプライベートで何度か行きました。
◆苗字が鰻で得したことは「ほぼない」

鰻和弘:今回の取材のように、「鰻仕事」がたまにあるんですよ。こないだも、うなぎを研究している大学教授の方と対談とか(笑)。今年も「巨大うなぎパイを作る」という企画のロケに呼ばれて行ったり。でも、僕は食べられないので、ロケに行ったのに試食もしないという謎の展開でしたけどね(笑)。
ーー食べることができれば、もっと色々な仕事が来そうですね!
鰻和弘:そうなんですよ!春華堂さん(うなぎパイの製造・販売をする会社)にも「何で使ってくれないんですか?」って聞いたんですけど、「やっぱ、食べれない人に頼むわけないじゃないですか」って(笑)。「鰻の成瀬」(うなぎチェーン店)の社長にも「鰻君を使いたいんだけど、食べれないからねぇ……」って言われました。
ーー得したエピソードを伺いましたが、やっぱり損エピソードになりますね(笑)。
鰻和弘:僕は息子がいるんですが、この苗字で申し訳ないなと思いますよ。親が芸人ってだけでも心配なのに、しかも鰻ですから。
ーー苗字が珍しいから、お子さんの下の名前は極力わかりやすくするなど、何か策を講じられましたか?
鰻和弘:いえ、むしろ思い切って縁起のいい名前に振り切ったものをつけましたね。僕は「鰻 和弘」っていうんですが、下の名前を覚えてくれている人って、本当にいないんですよ。だから、下の名前もきちんと覚えてもらえるのがいいなとも思って。

