
人生は一度きり。だからこそ、お金をどう使うかが重要です。本記事では、30歳目前でサラリーマン生活に終止符を打ち、現在は世界を旅しながら2児を育てる森翔吾氏の著書『すべては「旅」からはじまった 世界を回って辿り着いた豊かなローコストライフ』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編して、「幸せに生きるためのお金の使い方」について考えていきます。
人生は一度きり…幸せに生きるためのお金の使い方
東京で家族4人が生活する場合をシミュレーションしてみたことがあるが、年間の生活費は約600万円。将来のため、子どものための貯金をすることを考えると、1000万円近くは必要だと思っていた。
ニューヨークは家賃や食費が高いし、ドバイは家賃だけでなく幼稚園の費用などがバカ高く、年収1000万円で生活費とトントン。貯金はできない。
ところが、僕たちが住んでいるロシアの田舎町では、公立の保育園・幼稚園や学校、医療費は無料だし、光熱費は冬でも3000円程度。食費も安く、野菜も菜園で作るため一カ月の生活費は10万円で足りてしまう。
ちなみにロシア全体の平均月収は、2024年のデータを見ると、約12万円。モスクワだと約24万円、カザンは約11万円となっている。
そうなると、「月収は最低30万円あれば、大丈夫だ!」と気持ちに余裕が生まれる。余裕があると、自分の人生に合わせて仕事をコントロールすることもできる。
例えば、
●子どもが生まれるから、ここから半年は仕事をしないでおこう。
●夏場は菜園を手伝うので、仕事をセーブしておこう。
●車が欲しい、家を買う、日本に里帰りするから、仕事を頑張ろう。
といった具合に。
「日本の給料を基準にしながら、物価が安い国に住むのは、天国だ!」と僕は思う。もちろん、同じように考えている人もいて、コンサルティングを行っているクライアントさんには、「将来の目標は、家族でフィリピン移住です!」という人もいた。
物価が安いアジアは、人気の移住先だ。4人家族なら家賃は4~5万円。食費も同程度で済むため、生活費は10〜15万円あればいい。そう考えると、20万円程度の利益を上げることができれば、暮らせることになる。
人生一度きり。どんな生き方をするかは人それぞれだが、世界を旅して僕が選んだのは、心のゆとりをもち、家族と豊かに生きるライフスタイルだ。
●税金などを差し引いて、500万円前後の手取り。●年間100万円程度で暮らせる、物価が安い場所に住む。
●日頃は節約生活をしつつ、趣味の旅行用に年間100万円は確保。
●余った300万円を貯蓄し、投資に回して資産を築く。
「お守り」としての寄附をする
さらにもうひとつ、僕が長年続けているお金の使い方がある。それが、寄付だ。始めたのは、最初に社員として勤務した会社の同僚(「ねぇ森くん、一緒に会社を辞めない?」と言った彼)から、「人生がうまくいく秘訣を教えてあげる! 寄付に回すといいよ。いいことをしておくと、いいことが返ってくるから」と言われたことがきっかけだ。
ちょうど25歳になるときだったので、「善行をしよう」と、当時の給料の1%である3000円から、毎月の寄付を始めた。どこに寄付するかは迷ったが、子どもには何の罪もないのに、戦争や貧困で死ぬのは可哀想だと考えていたので、ある国際的な慈善団体にした。
収入も増えたので毎月1万円を寄付していたところ、2019年10月に、愛知県の自宅に団体から書類が届いた。たまたま帰国していたので開封してみると、募金を10年継続した感謝状だった。
商品のすり替え詐欺や500万円分の商品持ち逃げなどのトラブルに遭ったときも、「自分は人のためになることをしている。大丈夫だ、これ以上悪いことは起こらない」と思ってきた。寄付をしていることは、僕にとって「お守り」でもあったのだ。
団体から感謝状が届いた日、まったくの偶然だが、ロシアで第一子が生まれた。長女のソフィアだ。初めて顔を見ても父親としての実感は湧かなかったが、夜泣きで眠れない日々を過ごすうち、次第に責任感らしきものが芽生えてきた。この子たちが元気に、よりよく生きていけるように、今は日本の教育施設に寄付をしている。
森 翔吾
