◆“セクシー女優として10年”は誰もができることじゃない

「ひと言でいうと『やりきった』です。専属女優だった期間も含めて10年近く経って、出演作品も500本はゆうに超えています。セクシー女優を10年続けるって、誰もができることじゃないと思うんですよ。事務所にも恩は返せたかな、といった感じですね。
それに、私はもう40歳近いわけですよ。事務所から守ってもらえる枠から離れて、自分だけの目で世界を見てみたくなった。そうしないと、後で後悔しそうで。『事務所を出ておけばよかった』とは思いたくなかったんです」
――1人でやっていける確信があったのでしょうか。
「すでにコスホリやコミケには自分だけで出展していたし、自主制作もしていたので、自分1人でできるとは思っていました。それに、スケジュール調整や請求書の発行なんかも、どんな受け答えが正しいのか、どんなスピード感が求められているのか、いつの間にか身に着いていることにも気づいたんです」
――それは凄い。これまで会社勤めの経験はなかったのですよね?
「はい。でも、よくよく考えると、私は子どもの頃から大人同士のビジネスの現場を間近で目にしていたんですよね。実家には常に外商さんが出入りしていたし、パーティーに出席して立ち居振る舞いも学んできた。そういったものが、自分の軸になっているんじゃないかと」
――生来の育ちの良さが活きてきているわけですね。
「幼い頃の環境が、今の私の強みになっているんです。つい最近、母と電話で話した時、自然に父への感謝の気持ちを言葉にしていたんですよ。フリーになって、ようやく口にできるようになりました」
――今後もしばらくは1人で活動をしていく予定ですか?
「はい。今はマネージャーはいらないです。まだ他人を介してやりとりをしていく時期ではないと思っているので。作品の出演や自主制作、イベントも含めて、どんどん動いていくつもりです。同時に、フリーになるとはどういうことなのか。背中で見せることしかできませんが、若いセクシー女優さんたちにも伝えていければと思います。」
――ありがとうございました!
<取材・文・撮影/もちづき千代子>
―[笹倉杏]―

