「特に会社としての知名度が上がってきた今は、身に覚えのないクレーム対応に追われることもあります。ただ、それでもYouTubeやメディアに出演することには意味があると思っています」
都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに、特殊清掃業者の苦悩について話を聞いた。
◆Googleの口コミで誹謗中傷や身に覚えのないクレームも多々

「他の清掃業者と勘違いしているのかはわかりませんが、電話はもちろん、Googleの口コミやLINEなどで弊社のサービスを受けたかのような文言でクレームが書かれることがあります。たとえば、『ワンルームのロフトの片付けをお願いしたのですが、とっておいて欲しかったものが捨てられていたり、大事なものを投げられたりして最悪でした。ここには頼まないほうがいいと思います』といったものですが、身に覚えがありません。
私は、営業部門を統括しているので全ての案件を基本的に把握しております。過去現場を遡ってみても、そのようなことはありませんでした。
二人組の作業員で対応した現場が酷かったと言われたこともあるので、社内でヒアリングしたり、調べてみたのですが、まったくの事実無根で、冷やかしだと思われます」
一体どこの誰の仕業なのだろうか。
「こちらとしては心当たりがないので、悪いレビューなどは同業者が嫌がらせでやってるのかもと勘繰ったことはあります。他にも見積り依頼を受けて現場に行ったら誰もいないみたいな冷やかしもありました。
そういった現場の場合、前日にリマインドとして依頼主にメールを送るのですが、返事がないんですよね。もしかしたら他の業者と同時に見積りをしていて、前の業者で決めてしまったから他の業者の見積りは無視してるという可能性もあると思います。
また、精神的に不安定な方からの依頼で、見積り当日に『今は人と会う気分になれない』とお断りされることもありました。そこから着信拒否にされる時もあるので、こちらとしても見積りの際、事前にメールへの返信がなければキャンセルになるといった規約を考えてもいいのかもしれません」
◆YouTubeやメディア出演で知名度アップにつれて冷やかしが増加
会社としての知名度が上がってきたからなのか、イタズラ電話やLINE、仕事に関係のない相談を受けることも増えてきたと言う。「LINEで『いま自分で工事をしていて苦戦してます。どうしたらいいでしょうか?』みたいな内容がよくきますね。簡単な内容であれば相談に乗って解決してあげますけど……。
毎年、年末くらいになると必ずLINEしてくる方がいます。
『フェンスを掃除する場合、どんな形のモップを使えばいいですか?』ときて、こちらも『フェンスによります』とか、『中性洗剤を使って拭き上げてみてください』と対応するのですが、やりとりを続けていくと、文章が支離滅裂になっていくんです。会話のキャッチボールが成り立たないと言うか。ただ、今後お客様になってくださる可能性もあるので無下にはできず、結局は対応するのですが、『お見積りのご相談でしょうか?』と料金の話に繋げようとすると、無視されるんですよね。今年もそろそろ、その方から連絡がくる時期かもしれません」
最近はなくなってきたが、創業当時は直接嫌味などを言われることも多かったとか。
「見積りをしていると、『なんでこんなに費用が高いんだ。お前らヤクザな仕事だろ!人の死で飯を食いやがって。お前らみたいな仕事には、ろくなやつがいない』って言われたことがありました。その場合はなぜ、こんな費用がかかるのかをしっかりと説明して納得してもらいます。業者としても、なぜこの金額がかかるのかというのをきちんと説明する義務があるので。僕は創業当時はうまく説明できない時もありましたが、最近は知識がついてきたので、きちんと納得いただける形で見積りを出せるようになってきたかと思います」

