
『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』
© 2024 David Koskas © 2024 CINE NOMINE - M6 FILMS - AUVERGNE-RHÔNE-ALPES CINEMA – SAME PLAYER - KABO FILMS - ECHO STUDIO - BNP PARIBAS PICTURES - IMPACT FILM
宝石店に泥棒に入ったパウロとその父親は、逃走中に、障がいのある若者たちがサマーキャンプに出発する場面に遭遇。どさくさに紛れて、障がい者とその介助者になりすまし、一緒にバスに乗って出発! さまざまな個性を持つ彼らとの旅はトラブル続きではあるものの、にぎやかで、笑顔にあふれていて、いつしか二人の心もほぐれていくのでした。しかし、ゆかいな逃避行も長くは続かず……。泥棒父子の運命はいかに? そして、彼らがこの旅で見つけた本物の“宝石”とは?
障がいのあるアマチュア俳優11名を起用した映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』は、フランスで2024年の年間興行収入ランキングNo.1を獲得したハートウォーミングなコメディ作品。日本でも12月26日(金)より公開されます。
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監督を務めたのは、フランスの大人気コメディアンであるアルテュス。彼は日頃、舞台やSNSで知的障がいのある“大きなお調子者”シルヴァンというキャラクターを演じ、成功を収めています。そんな彼が初監督作として自ら脚本を書いたのが本作で、当初は自身が出演する予定はなかったそうですが、周囲の勧めもあり、「シルヴァン」になりすます泥棒のパウロ役を演じています。
大笑いして感動してさまざまことを考えさせられる、そんな唯一無二の映画を撮ったアルテュス監督に、オンラインでインタビューを行いました。
男性のおしりがダメなのは、障がいのある俳優だから?
シルヴァン役を演じるアルテュス監督(中央)
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――まさに笑って泣ける素敵な映画でした。正直なところ、映画の冒頭では、笑ってよいものかどうか迷いました。すぐ物に頭をぶつけてしまう女の子(マリ)の顔にボールが当たるシーンなど、明らかにコメディとして撮られていますが、演じている俳優が実際に障がいのある方だと知っているため、「笑っていいのかな。笑うと失礼かな」と戸惑ったのです。でも、このシーンを障がいのない俳優が演じていたらどうだろう、と考えたとき、絶対に笑うと思いました。そこからは、ふだんコメディ映画を観るとき同様に笑いました。現代は「インクルーシブ社会」の重要性がいわれていて、障がいの有無にかかわらず互いを認めて共生することが大切だという考えが広まりつつありますが、無意識あるいは配慮から区別してしまうことがあるように思います。この映画は、観る側がそうした心の垣根を越える体験をもたらしてくれると思いました。
アルテュス:今のお話を聞けて、本当に嬉しいです。まさに自分がしたかったことだからです。劇場公開前に試写をしたとき、フランスで有名な監督二人から、こんな指摘がありました。「シャワーを浴びているシーンで、男性のおしりが見えているショットはよくないのではないか」と。なぜいけないのか話を聞いてみると、男性のおしりがダメなのではなく、障がいのある俳優のおしりだから、という理由でした。健常者の俳優のおしりであれば問題ないショットなのに、障がい者だから問題になる、というのは何かがおかしいのではないかと私は思ったのです。
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私が彼らに深い愛を感じていることは理解してもらえるはず
アルテュス監督。『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』メイキング写真
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――フランスの観客は、アルテュスさんが日頃から演じている“シルヴァン”を知ったうえで本作を観ていると思いますが、日本の観客の多くは知らないので、もしかしたら知的障がい者のふりをする、という設定に抵抗がある人もいるかもしれません。その点に関して、こういうふうに観てほしい、などメッセージがあればお願いします。
アルテュス:たしかにフランスの観客は私自身のことも、私がコントで使っているハンディキャップを持ったキャラクターであるシルヴァンのことも知っていますので、本作の世界に入りやすいと思います。一方、他の国々の方は受け入れるのが少し難しいだろうということもわかります。けれども、この映画を最後まで観ていただければ、嘲りの視点を持った作品ではないこと、私が障がいのある俳優たちに深い愛を感じていることは、きっと理解していただけると思います。
そのうえで、映画を観てくださる方には、自然のままに身を任せていただきたいです。もし、気まずいな、ショックだな、と感じたなら、なぜそう思ったのかご自身で考えてみてほしいのです。「あー、楽しかった。あー、退屈だった」という感想だけで映画館を後にするのではなく、何か視点を変えるきっかけとなる小さな種を持ち帰っていただけると嬉しいです。そういう意味では、特に子どもたちに観てほしいと思っています。
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――11人のアマチュア俳優の方々は、アルテュスさんがInstagramを通じて募集をかけてオーディションで選ばれ、脚本は彼らに当て書きしたと聞きました。彼らはどのように役と向き合っていましたか? また、撮影現場の様子なども教えてください。
アルテュス:彼らに当て書きしたのは、映画の中でも本人たちでいてほしかったからです。アルノーは歌手・ダリダの大ファンという設定ですが、実際のアルノーもそうです。いつも仮装しているボリスも、ガーリーなファッションを好むマヤヌも、ふだんからそうなのです。
撮影現場は、独特でした。撮影直前にセリフを繰り返し教えた方がよい人もいれば、イヤホンでセリフを耳打ちしてあげた方がよい人もいました。カメラが回っているのに寒いと言ってセーターを取りに行ってしまう人もいました。それでも、こんなにも楽しく生き生きとした撮影現場というのは今までありませんでした。彼らがやってくるとみんな嬉しくて、楽しくて、笑っちゃう、というような雰囲気の現場でした。本人たちにとっても、良い経験になったと思います。今も彼らとの冒険は続いていると感じています。今回も日本で映画が公開されると知ったら、みんな大喜びするはずです。
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