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国際霊柩送還士とは?海外で亡くなった人は「魂と一緒に帰ってくる」

国際霊柩送還士とは?海外で亡くなった人は「魂と一緒に帰ってくる」

「海外で亡くなる」とはどういうことか

仕事や旅行で海外へ行って、不慮の事故に遭われるということもあるし、病気で亡くなるということもあるでしょう。日本で待っているご家族にしてみれば、突然、外務省や現地の領事館などから身内の訃報の連絡が届くわけです。

私たちのところには、ご家族と同じくらいのタイミングで、そうした領事館や葬儀社から依頼が入り、搬送のための手続きが始まります。私たちの役目はご遺体、ご遺骨を連れ帰ることに集約されるけれど、その仕事をする中で、ご遺族の方たちとも接することになります。

ご遺族の方は、大事な身内が亡くなったというショックに加え、身元の確認やらご遺体の出国手続きやら、考えたこともないようなやるべきことが押し寄せてきて、何もかもが五里霧中のような状態でしょう。

私はそうしたご遺族を放っておけないんですよね。それに、海外からご遺体が戻ってくるときに、彼らが落ち着いてちゃんと迎えられるようにしてあげることも国際霊柩送還士の役目だと思っています。

待っているご遺族には全力で寄り添う

だから、ご遺族の方には、領事の方や保険会社など間に入る役割の人たちを介して、いつでも私と連絡が取れるように携帯の番号を伝えてもらっています。先方さえよければ、私の方から、毎晩、電話をかけて「今、どうしてた? お風呂入った? ごはん食べた?」って話します。

そうすると「うん、食べて少し元気が出た」みたいな返事が返ってくる。そういうちょっとした普通の会話を毎晩していると、次第に心がほぐれてきて、亡くなった方のことを話してくれたりもします。

夫を亡くした方は、子どもたちの前では悲しみを押し隠してしまうだろうし、子どもを亡くした親たちは、互いに思いやって心にあることを吐露できないかもしれない。そういうとき私のような第三者には、話しやすいんでしょうね。そうやって日常生活が回るようになってきた頃に、「フライト決まったよ。待たせちゃったね」と伝えます。

コロナ禍のときは、大変でした。普段なら手渡したり口頭でできたりする作業が、すべて郵送での書類のやり取りになってしまって、何週間たってもご遺体をその国から出すことができなくなってしまったのです。ご遺族は不安と悲しみの中で、いつまでも待たなくちゃならない。そのときも、よく電話でご遺族の方々と話をしましたね。

まわりからは「そこまでする?」と驚かれるけれど、ご遺族が不安なくご遺体をお迎えできれば、それでいい。それが私たちの使命だと思っています。

配信元: HALMEK up

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