老後資金づくりに欠かせない制度として注目されているのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。iDeCoは掛金を毎月定額で積み立てて運用し、3つの節税メリットがあることが特徴です。
・毎月の掛金は、全額が所得控除の対象になる
・運用益が非課税で再投資できる
・受け取り時に一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除が適用される
会社員や公務員など給与から源泉徴収されている人にとって、iDeCoの節税効果は特に見逃せないポイントです。
ただし、2025年度の税制改正大綱により、2026年1月1日以降に受け取る退職所得控除の計算方法が見直され、iDeCoと退職金の重複期間に関するルール変更が行われることになりました。
この改正は、受け取り方によって手取り額が数十万円、場合によっては100万円単位で減少する可能性があるため、「iDeCo改悪」とも言われています。
iDeCo改正、何がいつどう変わる?
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2026年の改正では、退職所得控除の取り扱いが大きく見直され、退職所得控除の「5年ルール」が「10年ルール」へ延長となりました。
この改正により、iDeCoの一時金と会社の退職金を近い時期に受け取った場合、控除が重複して使えず、結果として税負担が増える可能性があります。このタイミング調整がより重要になります。
2027年には、さらに以下のような拠出可能額の上限引き上げ・加入年齢の拡大などが予定されています。
・企業年金(企業型DCやDBなど)がない会社員:月2.3万円 → 月6.2万円(年間74.4万円)まで拡大
・自営業者・フリーランス(第1号被保険者):国民年金基金等との合計が月6.8万円 → 月7.5万円に引き上げ
・公務員や企業年金ありの会社員:月2万円 → 月6.2万円へ拡大見込み
・加入可能年齢が65歳未満から70歳未満へ引き上げ
なぜ改正されるのか?
定年延長や再雇用制度が普及したことで、人々の働く期間や退職時期は多様化しています。
この状況で従来型の制度を利用すると、例えば60歳でiDeCoの一時金を、65歳で会社の退職金を受け取るといった方法によって、退職所得控除を実質的に二重取りできるという問題が生じていました。
そこで今回、税の公平性を保つため、退職金とiDeCoの一時金を近接した時期に受け取る場合の実質的な優遇措置が見直される運びとなりました。