
日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを、第一園芸のデザイナー・志村紀子がご紹介します。
2025年12月22日から二十四節気は冬至に
一年で最も昼間が短い日、それが「冬至(とうじ)」です。
この日を境に、昼の時間が少しずつ長くなっていきます。
そのため冬至には「一陽来復(いちようらいふく)」という言葉があり、冬が去り春が訪れることを示す、縁起のよい日とされています。
寒さがいっそう厳しくなる頃ではありますが、太陽の力は刻々と増していく──そんな時季にご紹介するのは、鮮やかな黄色の花が舞うように咲く「オンシジウム」です。
華やかなその姿は、一輪あるだけでも幸運が舞い込んでくるような、心躍る花。
新年の花飾りにもよく似合うオンシジウムを使った花あしらいをご紹介します。

華やかさを飾る
黄色い小花のイメージが強いオンシジウムですが、実は種類が豊富で、300種以上もの品種があります。
白やピンク、ワインレッドなどの花色に加え、斑入りのものや香りを楽しめるものなど、バリエーションは実に多彩です。
ここでは、斑のない鮮やかな黄色のオンシジウムを選び、金色の花器に生けました。一種類の花だけでも、空間に飛び切りの華やぎを添える花あしらいです。

動きのある葉をあわせて
オンシジウムは、1本でもその場の雰囲気を華やかにしてくれる花。
ここでは、たっぷりとあしらったミスカンサスにオンシジウムを1本加え、葉の動きの中で蝶が舞うような軽やかな雰囲気を表現しました。
花器はこうした茎が細い植物の場合、やや口径が広い一輪挿しを使うと全体がすっきりとまとまります。

こちらは、組み合わせた葉を斑入りのミスカンサスに変えたアレンジです。
葉の色が明るくなると、全体が軽やかな雰囲気に。
同じ植物でも印象はガラリと変わりますので、お好みに合わせて選んでみてください。

オンシジウムと斑入りミスカンサスの花あしらいを、金色のトレイに載せてみました。それだけでも華やかな雰囲気ですが、足元に豆を置いてアクセントを。
色のきれいな豆を見つけたら、いただく前にこんな楽しみ方はいかがでしょう。

さらにもうひとつ、トレイの上に小さな一輪挿しをプラスしました。
高さの違う花を組み合わせることで、印象がまた変わります。
少しの工夫でさまざまに表情が変化しますので、お手持ちの器を組み合わせて、ご自分ならではの花あしらいを楽しんでみましょう。

