男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:「何が不満だった?」結婚5年目、突然家を出た妻。夫が気づけなかった“異変”とは
「なんで連絡が来ないの…?」
昨日の昼に雄大に送ったLINEは、まだ既読がついていない。朝起きてから、何度も雄大とのトーク画面を開いては落胆する…を繰り返している。
最後に会ったのは1週間前だけど、その時の雄大はいつもと変わらなかったし、楽しくデートをしていた。
それに、私たちには体の関係もない。だから尚さら未読スルーされる理由がわからない。
体目的でもなければ、こんなに盛り上がったのは「何だったの?」となる。
私たちの関係は、これから進展しそうだったのに、どうして急に未読スルーされたのだろうか。
Q1:初デートで、男が1軒目で帰った理由は?
雄大と出会ったのは、食事会だった。雄大の会社の同期と私の女友達が他の食事会で会って、そのつながりで開かれた2対2の食事会に呼ばれて行ったところに、彼がいた。
身長が高く、少しホリが深い顔立ち。
― この人、タイプかも…。
初めて見た時から、そう思った。そして軽い自己紹介を終え、各々で話していると、雄大は急に距離を縮めてきた。
「朱莉(あかり)ちゃんって呼んでもいいですか?」
「もちろんです」
「朱莉ちゃん、すごく可愛いよね。肌もすごく綺麗だし…」
そう言いながら、じっと私を見つめてきた雄大。その視線がくすぐったくて、私は思わず視線を避ける。
「そんなそんな」
「すごくモテると思うけど、朱莉ちゃんのLINEとか聞いてもいい?」
そう言うと、雄大はそっと私の耳元で囁いてきた。
「次は二人で会いたいな。デートに誘ってもいい?」
こんな積極的に来るなんて、私のことが好きなのだろうか。そう勘違いしてしまうくらい、雄大は最初からグイグイと来た。
そして食事会の翌日、雄大からすぐにデートの誘いが来て、1週間後に、『YAKITORI燃(ヤキトリ モエ)』で会うことになった。
「六本木あたりでよかった?僕の会社が近いから、早く会えるかなと思って」
今日も雄大は、会った瞬間から嬉しいことを言ってくれる。
「うん。普段からこの辺りにしかいないから、嬉しい」
「そうなの?朱莉ちゃん、お家はどこ?」
「私は表参道だよ」
「表参道?すごい所に住んでるね」
「そうかな。雄大くんは?」
「僕は人形町のほう」
「あれ?会社は六本木だよね?」
雄大は、大手のメーカー勤務だと言っていた。そこで何の職種で、どういうことをしているのか気になったけれど、初デートで根掘り葉掘り聞くのは良くないだろう。そう思い、色々と聞きたい気持ちをグッと抑える。
「うん。朱莉ちゃんは自分で会社をやっているんだっけ?」
「一応ね。小さな会社だけど」
「すごいよね。僕みたいなしがないサラリーマンとは全然違う」
「そんなことないよ!雄大くんの会社、すごく大手じゃん。それに日本が誇るメーカーだし、すごいよ」
「ありがとう。何飲む?」
「私は…ワインにしようかな」
こうして、初デートは美味しい焼き鳥を食べながら、順調に進んでいった。
お互いのことを色々と知れるくらいたくさん会話をし、時間もあっという間に過ぎてしまうほど楽しかった。
お会計を雄大が済ませてくれていたので、2軒目は私が払おうと思い、お店を出た後に雄大を誘ってみた。
「雄大くん、まだ時間ある?よければもう1軒行かない?私の行きつけのバーがあって」
初デートだし、もちろん2軒目があると思っていた。しかし雄大は、時計を見て顔をしかめた。
「あー…ごめん。明日朝が早いのと、終電とか気にしたくなくて。今日は帰ろうかな」
時刻は、まだ22時半だ。でも帰るという雄大を引き留めるわけにはいかない。
「そっか、電車の時間があるんだ。じゃあ仕方ないね。また会えるかなぁ?」
そう言うと、雄大は大きく頷いた。
「もちろん!また連絡するけど、来週木曜とかどうかな?」
「いいね。じゃあ来週木曜に」
こうして、楽しい初デートが終わった。
Q2:男が未読スルーになった理由は?
そして二度目のデートは、軽く飲むだけになったけれど、とても盛り上がった。
「ごめんね、忙しくて。本当は食事へ行きたかったんだけど…」
「ううん、いいの。会えるだけでも嬉しいから」
今日も雄大はかっこいい。二人でグラスを傾けながら、仕事の話などで盛り上がる。
「朱莉ちゃん、今日も可愛いね」
「ありがとう…」
どうして、こんなに嬉しいことを言ってくれるのだろう。毎回雄大から誘ってきてくれるから、脈アリな気がする。
「雄大くんって…今、彼女いるの?」
「いないよ。いたら朱莉ちゃんをデートに誘わないでしょ。3ヶ月前に別れたばかり」
「じゃあ結婚しているとか?」
「それはもっとない。独身だよ。家見に来る?」
「え、いいの?今度行きたい」
「わかった。掃除しておくね」
彼女もいないし、結婚もしていない。家に呼べる、ということは本当に結婚していないのだろう。
さらにお互い、興味があることはわかっている。
「私ももうしばらく彼氏いなくて。今年の年末こそはって思っているんだけどね」
「奇遇だね。僕たち…お互い募集中ってことだ」
「雄大くんは、恋人を作る気はあるの?」
「もちろんだよ」
― これって、お互いちゃんと考えているってことだよね?
雄大の恋愛に対するモチベーションも確認できたし、二人で進んでいけるような、幸先の良い未来が見えてきた。
そこから数杯飲み、お店を出てしばらく歩くと、けやき坂が綺麗にライトアップされていた。
「何度見ても、私、ここのライトアップ好きなんだ…。東京だなって感じられるから」
ブルーライト越しに見える、赤い東京タワー。
私はこの景色が本当に好きで、「東京で頑張っていてよかった」と思える景色だ。
「もう年末だねー…」
「歳を重ねると、一年があっという間だな」
「雄大くん、クリスマスと年末は何かするの?」
「僕?何も決めてないよ」
「…良ければ、二人で一緒に過ごさない?」
「朱莉ちゃんと?逆に、一緒に過ごせるの?朱莉ちゃん人気者だから、お誘い殺到してないの?」
「まさか。今年のクリスマスこそ、彼氏と過ごすって決めていたから嬉しいな」
「楽しみだな〜」
そう言いながら、ふと手と手が触れ合った。
その手を、私からそっと握ってみる。雄大の手は大きくて、でも冷たくて。もう一度ぎゅっと握ってから、繋いだ二人分の手を雄大のコートのボケットに突っ込んだ。
「どうしたの?」
「ううん。クリスマス、楽しみだなと思って」
こうして、私たちは手を繋ぎながら綺麗なイルミネーションを見ていた。
しかしこの後。解散してすぐにお礼のLINEを送ったのに、既読になったのは翌日だった。
― あれ?なんかおかしいな。でも忙しいのかな。
そう思っていた。しかし、「次はいつ会う?」と送ったLINEが、3日経っても既読にならないことに気がついた。
そして昨日、忙しいかなと思って「体調とか大丈夫?」と送ったLINEもまだ未読のまま…。
私が、何かしてしまったのだろうか?もしくは、他に好きな人ができた?
彼がどうして未読スルーにするのか。そしてあんなにも盛り上がっていたはずなのに、どうしてこんなことができるのか、まったく理解ができずにいる。
▶前回:「何が不満だった?」結婚5年目、突然家を出た妻。夫が気づけなかった“異変”とは
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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男が突然未読スルーになった理由は?

