だが一方で、ぬいぐるみの人気が高まるほど、「手放されるぬいぐるみ」も増えているのではないか。
ぬい活当事者、ゴミ清掃員、人形供養を行う住職。三者の声から、その背景を探った。

◆“ぬい活ブーム”に何を思うのかは三者三様

「大きなブームが来ているという実感はないですね。ぬいぐるみ関連のオフ会が増えた感じもないですし。ただ、外でぬいぐるみと一緒に写真を撮っていても、変な目でみられなくはなりました(笑)」(秋津さん)
一方で、ピン芸人兼ゴミ清掃員のタケウチパンダさんによれば、家庭から出されるゴミの中に、ぬいぐるみが増えているという。
「小さなものはゴミに紛れて見えないだけだと思いますが、大きなぬいぐるみはここ2年くらいで増えた印象がありますね。5年くらい前、コロナが広がって断捨離が流行った時も、ぬいぐるみのゴミを多く見かけましたが、それ以来の波という感じです」(タケウチパンダさん)
また、遺品供養などとともに、人形供養も受け付けている寺院「泰聖寺」(大阪市)の純空壮宏住職は、ブームの影響は大きいと話す。
「以前までは、供養のご依頼は月に10〜20体でしたが、ここ2年ほどは100〜150体になりました。また、和人形やフランス人形など職人さんが作ったようなものが多かったですが、最近はクレーンゲームにあるようなキャラクターぬいぐるみ類の増加が顕著ですね。今後、ブームが去ることを考えると、これからもっと依頼が多くなると思います」(純空壮宏住職)
◆ぬいぐるみのゴミは「時代を映す鏡」
ゴミ清掃員のタケウチパンダさんによれば、“ぬいぐるみゴミ”は量の増減だけでなく、その内訳にも変化があるという。「ゴミ清掃員になって11年経ちましたが、その間ずっと見かけるのがディズニー系。ミッキーマウスやミニーマウス、くまのプーさんが特に多いです。ここ数年では、星のカービィや、耳が長くて目が青い犬のようなキャラクターのぬいぐるみが増えました」(タケウチパンダさん)
長耳に青目の犬のキャラクターは、サンリオの「シナモロール」だろう。同キャラクターは、2020年から2024年までサンリオキャラクター大賞を5連覇(2025年は2位)を果たしている。
また、「星のカービィ」も2024年にマクドナルドのハッピーセットのおまけとして登場するも、あまりの人気に発売翌日には売り切れ状態となったことは記憶にも新しく、やはり、ゴミは世相を映す鏡と言えるだろう。

