◆賃貸市場の価値と居住環境の良しあしは別
なお、この所感はあくまで私の「賃貸」市場としての感覚です。居住環境として高級住宅地は素晴らしいものがあります。落ち着いて静か、治安も良い住宅地は当然のごとく住みたいと感じる人は多く、一度住んだらずっと住んでいたいような素敵な街なのでしょう。しかし、それが故に流動性に欠けてくることは否めません。つまり変化が乏しくなってくるのです。変化が全て良いわけではありませんが、時代は否応なしに動いていきます。その動きに取り残されてしまった街が衰退していく可能性を秘めるのは、致し方ないのでしょう。
その意味では「流動性が高い街」「変化起きやすい街」は、長期のスパンで考えなければいけない不動産投資において、気にした方が良いキーワードだと考えています。
◆『カフェ・ベローチェ』がある街は伸びる

もはやこれは都市伝説の類といっても過言ではなく、成人雑誌と同じくまったく根拠がない話なのですが……。個人的に信じ切っているのは「『カフェ・ベローチェ』がある街は発展する」という説です。『ドトールコーヒーショップ』でもなく『スターバックス』でもなく『ブルーボトルコーヒー』でもなく、特段の理由もありませんがなぜか『カフェ・ベローチェ』です。
近隣にベローチェがある街はなぜか栄える街で、当然家賃も上がっていくと勝手に思っています。ですから、もしマイソクと言われる不動産業界で使われる物件情報の広告図面に「近隣にベローチェ有」と書かれていたら、無条件に触手を伸ばしたくなるほどです。住む街として、投資する街として、迷ったときにはベローチェがあるか否かを参考にしてみると面白いかも知れません。なお、信じるか信じないかは皆さんにお任せいたします。
<構成・文/上野智(まてい社)>
【村野博基】
1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち19区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』(扶桑社)、『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵"不動産投資法』(アーク出版)

