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「サカキは庭に植えてはいけない」は誤解だった⁉ 縁起がよいとされる理由と正しい育て方

「サカキは庭に植えてはいけない」は誤解だった⁉ 縁起がよいとされる理由と正しい育て方

サカキの栽培12カ月カレンダー

開花時期:6〜8月
植え付け・植え替え:3月中旬〜4月、9月中旬〜10月上旬
肥料:2月頃
剪定:6~9月、10月(生け垣)
種まき:12月頃

サカキの栽培環境

サカキ
Aryan Tomar/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たりのよい場所から日陰まで、あまり場所を選ばずに栽培できますが。日照が不足すると枝葉が間延びしやすく、日差しが強すぎると葉色がきれいになりにくい傾向があります。日陰の場合はなるべく明るい場所を選び、日なたの場合は西日の当たらない場所に植えるとよいでしょう。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】水はけがよく腐植質に富んだふかふかとした土壌を好みます。西日が強く照りつける場所は避けたほうが無難です。

耐寒性・耐暑性

暑さには強く、夏越し対策は特に必要ありません。耐寒性もある程度ありますが、栽培適地は関東以西。寒風が吹き付ける場所は避け、マイナス5℃未満になる地域では鉢植えにして冬は取り込むなど防寒対策をするとよいでしょう。

サカキの育て方のポイント

用土

土
Wstockstudio/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの2〜3週間前に、直径・深さともに50cm程度の穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び戻しておきましょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

市販の樹木用の培養土を利用すると手軽です。

水やり

水やり
Afanasiev Andrii/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。

真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。

【地植え】

根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥するようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。枝葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
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【地植え・鉢植えともに】

生育期に入る少し前の2月頃、生育を促すために緩効性化成肥料を株の周囲にまき、周囲の土を軽く耕して土に馴染ませましょう。あまり肥料を多く与えると枝葉が茂りすぎて樹形が乱れやすくなるので、与えすぎには注意してください。

注意する病害虫

ケムシ
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サカキの栽培で発生しやすい病害虫についてご紹介していきます。特にカイガラムシが発生するとすす病を招きやすいので、注意が必要です。

【病気】

サカキに発生しやすい病気は、炭疽病やすす病などです。

炭疽病は、春や秋の長雨の頃に発生しやすい、カビが原因の伝染性の病気です。葉に円形の褐色の斑点ができるのが特徴で、その後葉に穴があき始め、やがて枯れ込んでいくので早期に対処することが大切です。斑点の部分に胞子ができ、雨の跳ね返りなどで周囲に蔓延していくので、被害を見つけたらすぐに除去して土ごと処分しておきましょう。密植すると発病しやすくなるので、茂りすぎたら葉を間引いて風通しよく管理します。水やり時に株全体に水をかけると、泥の跳ね返りをきっかけに発症しやすくなるので、株元の表土を狙って与えるようにしましょう。

すす病は、一年を通して葉や枝などに発生する病気です。葉に発生すると表面につやがなくなり、病状が進むと黒いすすが全体を覆って見た目が悪いだけでなく、葉に広がると光合成がうまくできなくなり、樹勢が衰えてしまいます。カイガラムシ、アブラムシ、コナジラミの排泄物が原因となるので、これらの害虫を寄せ付けないようにしましょう。込み合っている枝葉があれば、剪定して日当たり、風通しをよくして管理します。

【害虫】

サカキに発生しやすい害虫は、カイガラムシやチャドクガなどです。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mmほど。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われ、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

チャドクガは蛾の幼虫で、多数の細かい毛に覆われた毛虫です。体長は20〜30mmくらいで、ツバキ科の植物によく発生します。葉裏などに幼虫が大発生することがあり、見た目もよくないので見つけ次第駆除しましょう。チャドクガは毒を持ち、毛に触れるとかぶれて皮膚炎を起こすので、駆除の際には注意が必要です。毛が皮膚につかないように長袖、長ズボン、手袋を着用して作業し、枝ごと切ってビニール袋に入れて処分してください。

サカキの詳しい育て方

選び方

サカキ
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がっしりと締まって勢いがある苗木を選びましょう。枝がヒョロヒョロと間のびしているものや葉色が冴えないもの、虫食い痕のあるものは避けたほうが無難です。

植え付け

植え付け
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榊の植え付け・植え替えの適期は、3月中旬〜4月か、9月中旬〜10月上旬です。

植え付け適期以外にも苗木は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。ただし、真夏と真冬は避けたほうが無難です。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、根鉢を軽く崩して植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。

地植えで育てる場合は、環境に合えば植え替える必要はありません。

【鉢植え】

入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木を鉢の中に入れて仮置きし、高さを決めたら、少しずつ土を入れて、植え付けていきましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢を崩して古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくして、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。

剪定

剪定
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【自然樹形を生かした剪定の場合】

自然樹形を生かして剪定する場合は、真冬と真夏を除けばいつ行ってもかまいません。花や実を楽しみたい場合は、芽吹く前の3月頃に行うとよいでしょう。

サカキは自然に樹形が整うので、若木のうちはあまり刈り込んだり強く切り戻したりする必要はありません。木が大きくなって枝葉が込み合っている部分があれば、不要な枝を枝の付け根で切り取って風通しをよくします。不要な枝とは、古くなった枝、勢いよく伸びすぎている枝、ほかの枝に絡んでいる枝、内側に向かって伸びる枝、下に向かって伸びる枝、ひこばえ(株元から勢いよく伸びる枝)などです。

【生け垣を刈り込む場合】

生け垣にしている場合、形が乱れやすくなるので、年に2回ほど刈り込みます。適期は6月と9〜10月です。刈り込む際は、だいたいのアウトラインを決めて、はみ出している枝を刈り込みバサミで切り揃えていくとよいでしょう。

増やし方

サカキは挿し木、種まきで増やすことができます。

【挿し木】

挿し木とは、枝を切り取って土に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものがありますが、サカキは挿し木で増やすことができます。

サカキの挿し木の適期は、6月下旬〜7月上旬です。その年に伸びた新しい枝を10〜15cmほどの長さで切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替え、成長とともに鉢増ししながら管理し、苗木として十分な大きさに育ったら、植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

【種まき】

サカキは12月頃に果実が熟します。果実を採取して2mmほどの小さな種を果肉の中から取り出し、流水できれいに洗い流してそのまま種まきしましょう。

黒ポットに新しい培養土を入れて十分に湿らせ、種子を数粒播いて軽く土をかぶせたら、明るい日陰で管理します。カラカラに乾燥しないように水の管理に注意し、発芽後は日当たりのよい場所に置きましょう。本葉が2〜3枚ついたら勢いのある苗を1本のみ残し、ほかは間引いて育苗します。ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替えて鉢増ししながら育成し、苗木として十分な大きさに育ったら植えたい場所に定植しましょう。

サカキの育て方や特徴を知り庭木として楽しもう

サカキ
Honki Kumanyan/Shutterstock.com

神事に用いられるイメージが強いサカキですが、常緑で冬もみずみずしい姿を保ち、日陰にも強いので、生け垣や庭木としても魅力ある樹木です。邪気を払う神聖なサカキを、ぜひ庭に植栽してみてください。

Credit 文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!

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