月間1万5000円で変わるもの
これは人によって異なりますが、正直なところ月間1万5000円では、あまり変わらないのではないでしょうか。残業をコントロールしようとする動機にはなっても、18万円のために「働き方」自体が変わるといったことは考えづらいと思います。
それよりも体感的な節税効果の方が大きいでしょう。上記表のように基礎控除+給与所得控除が18万円上がることで、同じ働き方をしても「手取り」が多くなります。国民民主党としては2025年の税制改正(=160万円)に達成感を感じつつも、160万円では不十分である、と認識する人が多数派ではないかと感じます。
「現役世代の重視」という大枠で考えたい
とはいえ、これまで政治は「高齢者のもの」と言っても過言ではありませんでした。選挙における投票率が高い高齢者優遇の政策が優先され、現役世代は後回しとも受け取れる場面が多かったのも事実です。
ただ、3年ほど前から「現役世代を重視」する政党が現われ、国政政治における存在感を高めていったことで、雰囲気は大きく変わろうとしています。今回の178万円の壁も、160万円と比較すると解説の通りですが、そもそもの「103万円の壁」と比較すると大きな進歩です。
そんな中、12月12日に「政府・自民党は所得税の課税が始まる年収の壁を、現行の160万円から178万円に引き上げる方針を固めた」と読売新聞が報じました。国民民主党の看板政策を受け入れ、2026年税制改正大綱に盛り込むことで政権の安定を目指すことが目的です。
また国民民主党ではなく、連立与党となった日本維新の会の施策にも「現役世代の重視」という点で共通するものがあります。教育費の無償化や、社会保険料の見直しです。こちらは閣外協力とはいえ連立政権内ですので、一定のスピード感を持って政策は進んでいくことでしょう。現役世代の意見が、これほど通りやすくなっているのは過去一番ともいえる昨今。最新状況は常に動いています。いまどうなっているのかという情報のアップデートを今後も常に継続していくことが大切です。