◆資産を守りながら増やすコツ
とはいえ、アメリカ国債だけが債券投資わけではない。そこで深野氏が着目するのは社債である。「例えば、ソフトバンク社債。昨今では7年物の個人向け社債で3.98%が発行されていました。格付けはシングルAを取得すると言われています。ソフトバンク社債に限らず、そもそも日本での社債は『BBB(トリプルビー)』でないと実質的に発行できないとなっていますから、リスクは株式よりもかなり低いと考えて問題ないでしょう」
さらに30年以上に渡って金融市場を見続けてきた深野氏は「金利がある世界においてはこんな金融商品もある」と指摘する。
「昨今では9年ぶりに『MMF』の復活が報道されたのも話題になりました。日本のMMFはマネー・マネージメント・ファンドの略。格付けの短期の国債や譲渡性預金(CD)やCP(コマーシャルペーパー)などに投資する元本の安定性を重視した投資信託の一種です。
日本国内のMMFはマイナス金利下の影響で2016年には販売停止になっていました。2008年頃のMMFの年換算利回りは0.5%ほどで当時の銀行預金金利よりも0.3%ほど高く設定されていましたから、銀行金利よりも高利回りが期待できます。今回の金利上昇で債券投資周りは今後も盛り上がっていくと思います。こういった金融商品を組み込みながらポートフォリオを考えていくことが資産を守りながら増やすコツです」
相場のアノマリーでは辰巳天井、午(うま)尻下がりと言われる。辰年と巳年が上がり安く、午年は下がる年で、まさに2025年は巳年であった。今後の金利がある世界では債券の動きにも着目しながら、手堅く資産を増やしたい。
<構成/上野智(まてい社)>
【深野康彦】
ファイナンシャルリサーチ代表。大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。その後、1996年に独立し、現在の有限会社ファイナンシャルリサーチは2社目の起業。FP業界歴35年(2024年10月現在)を誇り、そのキャリアを通じて日本経済の浮沈を見守ってきた。メディア出演やセミナーを通じて、資産運用や住宅ローン、生命保険、税金、年金など幅広く「お金の知識」を発信している。著書『金利で損しない方法、教えてください!人気FPが教える金利上昇時代の「お金の新ルール」』

