[2]当事者の話を聞くときは、助言や自分の意見を挟まず、ただ受け止める
良かれと思ってのアドバイスは、当事者の孤立感を深めてしまうことがある。当事者の話を聞くときは、助言や自分の意見を挟まず、ただ受け止める。当事者の心情に真摯に心を寄せ、ただそばにいるという姿勢が重要
[3]当事者の周囲にいる私たちは、情報を集めながら助けを求められるときを見守る
当事者と近い関係性の場合は、地域の家族会になど参加し、まずは自身を労わり気持ちが楽になれるようにする。そして、当事者本人が「そろそろ一歩踏み出せるかも」と感じたタイミングで、情報を差し出せるよう、適切な相談窓口や精神科医などの情報を集めておく。周りは焦らず、温かく見守りつつ、自身の生活や人生も大切にすることを心がける
ひきこもり状態にある女性の実態が見えにくいことや、女性ならではの支援の課題があることを知り、今回の取材に至りました。
印象的だったのは、支援活動が「就労」や「自立」ではなく、「つながりを育むこと」「共にあること」に重きを置いている点です。その根底には、元当事者である林さんの経験とまなざしがあります。私たちも「支援しなければ」と力むより、当事者のニーズを知り、共にある姿勢を持つことが何よりも大切なのかもしれないと感じました。
撮影:永西永実
林恭子(はやし・きょうこ)
一般社団法人ひきこもりUX会議・代表理事。高校2年で不登校、20代半ばまでひきこもりを経験する。2012年から、「自分たちのことは自分たちで伝えよう」と当事者発信を開始し、イベント開催や講演、研修会の講師などの当事者活動をしている。東京都ひきこもりに係る支援協議会委員/就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォーム議員等。 著書に『ひきこもりの真実―就労より自立より大切なこと』 (ちくま新書)。