
1.介護職員初任者研修とは
介護職キャリアのスタートとなる資格
介護職員初任者研修とは、2013年に創設された介護の入門資格であり、誰でも受けることができる公的資格です。厚生労働省は「介護業務に必要な最低限の知識・技術と考え方を身につけ、基本的な介護業務をおこなうことができるようになること」を目的として設定しています。
介護業務では利用者に触れずに身の回りの世話をおこなう「生活援助」と、身体に触れて介助をおこなう「身体介護」があります。無資格で訪問介護における身体介護をおこなうことはできないため、介護職員初任者研修以上の資格が必須となります。
施設では無資格でも身体介護をおこなえますが、安全面やスキルを考慮すると有資格であることが望ましいようです。また、介護タクシーのドライバーも、乗降介助をおこなう場合は介護職員初任者研修以上の資格が必要です。
事業所によっては資格手当が設けられていたり、無資格者より給与が高く設定されているなど、給与アップにつながる可能性もあります。
(旧)ホームヘルパー2級との違い
ホームヘルパー2級は2013年3月までの介護入門資格であり、介護職員初任者研修の前身にあたります。実務・経歴においては同等の位置づけと認識されていますが、介護職員初任者研修への移行にあたって試験やカリキュラムなどが一部変更されました。
なお、ホームへルパー2級の資格も引き続き有効です。
(旧)ホームヘルパー2級からの変更点
- 修了試験(筆記試験)の実施
- 30時間の施設実習が廃止、スクーリング(通学)時間の増加
- 「認知症の理解」カリキュラムの追加
介護職員実務者研修との違い
介護職員実務者研修は、介護職員初任者研修の上位資格に相当する研修であり、介護福祉士の受験要件でもあります。介護職員初任者研修を修了していると、カリキュラム450時間のうち130時間が免除され、320時間の受講で修了することが可能です。
〈介護資格とキャリアのイメージ〉

介護職員実務者研修はより実践的な内容になりますが、受講条件はとくにないため、介護職員初任者研修を取得していなくても受講可能です。
介護職員実務者研修について詳しくはこちらの記事で解説しています
>介護職員実務者研修とは?
2.介護職員初任者研修を取得するには
講座と演習を修了し、試験に合格する必要がある
介護職員初任者研修を取得するには、決められたカリキュラム(講座・演習)を履修し、修了試験に合格する必要があります。講座は介護事業者などのスクールや公的機関で実施され、試験も受講先で受験します。
修了試験は講義の最終確認の意味合いで合格基準は7割程度、ほとんどの受講者が合格できるといわれています。合格後に修了証が発行されますので、紛失しないよう大切に保管しましょう。
また、もし修了試験に落ちてしまった場合でも再試験を受けることができます。
介護職員初任者研修のカリキュラム
介護職員初任者研修のカリキュラムは9科目130時間です。スクーリング(通学)が基本ですが、研修のうち40.5時間までは通信講座でも受講できるため、スクーリングと通信講座の併用も可能です。
| 科目 | 通信受講の上限 | 合計時間 |
|---|---|---|
| 1. 職務の理解 | ― | 6時間 |
| 2. 介護における尊厳の保持・自立支援 | 7.5時間 | 9時間 |
| 3. 介護の基本 | 3時間 | 6時間 |
| 4. 介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 7.5時間 | 9時間 |
| 5. 介護におけるコミュニケーション技術 | 3時間 | 6時間 |
| 6. 老化の理解 | 3時間 | 6時間 |
| 7. 認知症の理解 | 3時間 | 6時間 |
| 8. 障害の理解 | 1.5時間 | 3時間 |
| 9. こころとからだのしくみと生活支援技術 | 12時間 | 75時間 |
| 10. 振り返り | ― | 4時間 |
| 合計 | 40.5時間 | 130時間 |
働きながら介護職員初任者研修は取得できる?
介護職員初任者研修は、働きながら取得することができます。通信受講や土日・夜間開催のスクーリングなどを仕事の都合に合わせて選択し、無理なく学習を進めるのがおすすめです。
また、職場によっては福利厚生として資格取得補助がある場合や、スクールを開催している事業所で修了後に就職先の紹介をおこなっているケースもあります。合格後の転職を考えている場合は、職場紹介の有無を含めてスクールを検討するとよいでしょう。


