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在宅介護10年目、母の転倒で突きつけられた現実——入居を決めた母のひと言とは?

在宅介護10年目、母の転倒で突きつけられた現実——入居を決めた母のひと言とは?

在宅介護10年目、18年に及んだ親の介護と向き合った50代主婦・まいこさん。排泄介助への戸惑い、施設入居をめぐる葛藤、そして母が口にしたひと言とは。第2話では、入居を決断するまでの揺れる心と、在宅介護中に本当に役立った6つの備えを綴ります。

転倒と骨折——その日は突然やってきた

在宅介護が始まって10年ほど したある日、母が室内で転倒しました。食器棚のガラスを割って倒れているところをヘルパーさんが発見。救急搬送、病院の付き添い、片付けまで——。あのときほどヘルパーさんがありがたいと思ったことはありません。 

その手際と寄り添いに深い感謝の気持ちでいっぱいになる裏側で「とうとうこのときが来たのか」 という怖さも感じていました。

母は数か月ほど入院することに。退院後、母は車いす生活になり、介助が本格的になりました。

特に排泄の問題は、 母にとっても私にとっても切ない出来事でした。玄関を開けるとわかるカーペットのしみ。 自力でトイレに行こうとした母の努力もわかり、泣きながらお風呂に入れたこともあります。

ケアマネさんから 「排泄のサポートが増えてきたときに入居を考える人が多い」と言われた言葉が頭をよぎりました。

「今なのかもしれない……」

でも、落ち着いたときの母の寝顔を見ると「私がもう少しがんばれば在宅期間を延ばせるのかも」という気持ちにもなります。施設にお願いして安心したい自分と、もう少しがんばらなければという葛藤がありました。

そんなふうに迷えたのは、施設の仮予約というカードを私が持っていたからです。いざとなったら頼れるという心のよりどころがあったからこそ、在宅介護を長く続けられたのだと思います。

 転倒と骨折——その日は突然やってきた
ガラスが割れた食器棚の前で

入居は思いがけず母からの申し出で…

そんな私の迷いを聞いたケアマネさんが、「小規模多機能型居宅介護」の利用を提案してくれました。

小規模多機能型居宅介護とは、住み慣れた自宅・地域での暮らしを最期まで続けたい高齢者のために作られた、在宅介護を支える地域密着型サービスのこと。一つの施設で、利用者の状態に合わせてデイサービス・訪問介護・ショートステイを柔軟に利用できます。

私が望んでいるサポートがすべて叶う、ありがたい施設でした。こういう情報を得るにも、普段から遠慮しすぎずケアマネさんに不安を相談しておくことが大事だと思います。

そして、何度かのお泊りを経たある日、母がこう言ったのです。

「スタッフさんがいてくれると安心して眠れるから施設に入りたい」
その言葉を聞いた瞬間、「今が介護施設への入居のタイミングなのかもしれない」と感じました。

母の意思で施設に入る 。それは私の罪悪感を消してくれる母の思いやりだったかもしれません。早速事前に準備していた施設への問い合わせを始めました。

入居は思いがけず母からの申し出で…
入居用のパジャマを選ぶ
配信元: HALMEK up

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