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“三浦春馬さん他殺説”を唱える陰謀論者が反イスラム排外運動。「ティッシュが逃げたぞ~」現場は前代未聞の逃走劇に

“三浦春馬さん他殺説”を唱える陰謀論者が反イスラム排外運動。「ティッシュが逃げたぞ~」現場は前代未聞の逃走劇に

秋葉原駅前での反イスラム街宣(12月6日)
秋葉原駅前での反イスラム街宣(12月6日)

◆年の瀬の秋葉原に集った、反イスラムを訴える人々

 2007年の在日特権を許さない市民の会(在特会)登場以来、街頭での外国人に対するヘイトスピーチが社会問題化した。主な攻撃対象は在日コリアンや中国人だったが、2023年頃からは埼玉県の蕨市を中心として、これら古参ヘイトスピーチ活動家によってクルド人へのヘイトが活発化する。そして、2020年のアメリカ大統領選とコロナ禍によって日本で活発化した陰謀論の政治運動が、この夏、レイシズム運動と完全合体。「移民反対」を掲げる排外主義運動となった。ここで新たなターゲットにされているのが、イスラム教徒全般だ。

 そして2025年12月6日、東京のJR秋葉原駅電気街口前の広場に、「反イスラム教」の街宣を行おうとする一群が現れた。開始時間の少し前に記者が到着すると、十数人ほどの参加者が集まっていた。それぞれ、背中に「モスク建設反対」と手書きしたTシャツを着ていたり、「ハラル給食反対」「土葬反対」といったプラカードを持っていたり。

 数人の「カウンター」も集まっており、トラメガで街宣集団を叱りつけていた。

 この場に、『陰謀論と排外主義』の執筆陣も含めた陰謀論ウォッチャーたちも集まっていた。実はこの街宣、陰謀論関連の「いままでにない新しい動き」としても注目されていたのだ。

◆三浦春馬さん他殺説の陰謀論が反イスラム?

 実は、この反イスラム街宣を呼びかけた人物、とある「運動」の勢力だった。その「運動」とは、2020年に自殺した三浦春馬さんが「実は何者かに殺されたのだ」とする陰謀論に基づき、警察の再捜査を求めたり、「死の真相」を人々に知ってもらおうという運動を展開してきた「三浦春馬勢」のことだ。今回の秋葉原での反イスラム街宣を呼びかけたのは、その1人だったのだ。

 しかし政治的な主張を社会に浸透させ実現しようとする他の陰謀論集団と比べて、もともとの「三浦春馬勢」は少し趣が違った。三浦春馬さんを過剰に美化し、人によっては文字通り「神格化」し、そんな三浦春馬さんが殺されてしまった「真相」を世に伝えたいという運動であり、「警察の再捜査を求める」という点以外は、ほぼ政治性がない。いわば、中高年女性の集団による「三浦春馬さん好き好き運動(はあと)」、すなわち三浦さんの推し活である。

 確かに、「つばさの党」の黒川敦彦の参入により、黒川が関わる他テーマの陰謀論デモや選挙活動に三浦春馬勢の一部が巻き込まれたり、初期には「春馬さんは日本の現状を憂いていた」「芸能界はニセ日本人に支配されている」といった類いのスピーチもなされた場面もあった。ナショナリズムや外国人差別の側面もはらんではいたし、反ワクチンの立場を取る人もいた。しかし、それ自体を主題にしたデモなどを行ったことはなく、政治的な運動の主体になったことはない。

 それが、ここに来て「反イスラム」街宣だ。三浦春馬さん好き好き運動(はあと)まで排外主義の波に飲まれてしまうのか。ウォッチャー勢が数年来、見続けてきた陰謀論集団の、重大な転機になるかもしれない。はたして、どんな街宣になるのか。


配信元: 日刊SPA!

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