5.管理薬剤師は複数店舗で兼務・副業は可能?
結論から言うと、基本的には管理薬剤師の兼業や副業は認められていません。
そのことについて医薬品医療機器等法(通称:薬機法/旧薬事法)第7条3項では次のように書かれています。
【医薬品医療機器等法(薬局の管理)第7条‐3】薬局の管理者(第1項の規定により薬局を実地に管理する薬局開設者を含む。次条第1項において同じ。)は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であつてはならない。ただし、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない
上記の通り、薬局の管理者(管理薬剤師)は勤めている薬局以外では薬事に関する仕事をしてはいけないとされています。
しかし、2019年3月に管理薬剤師の兼務について一部緩和され、地域における必要な医薬品提供体制の確保を目的とした以下の場合には兼務が許可されることとなりました。
・薬局の営業時間外である夜間休日に、当該薬局の管理者がその薬局以外の場所で地域の輪番制の調剤業務に従事する場合・へき地における薬局の管理者の確保が困難であると認められる場合において、当該地域に所在する薬局の営業時間外に、当該薬局の管理者が他の薬局に勤務する場合
引用:厚生労働省/医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第7条第3項に規定する薬局の管理者の兼務許可の考え方について
■新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による兼業規制の緩和
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、薬剤師や管理薬剤師が不足することを想定し、厚生労働省は2020年4月に「管理薬剤師の常勤の扱い」「管理薬剤師の兼務」などについて通知を出しました。
具体的な内容は次の通りです。
【管理薬剤師の常勤の扱い】
管理薬剤師がテレワークをおこなう場合、その代行者を薬局開設者等が指定して、現場で管理させる。またこの場合、管理薬剤師はテレワークの勤務時間も勘案して常勤として扱える。また、管理薬剤師が新型コロナウイルスの感染などにより、業務をおこなえない場合、同じくその代行者を薬局開設者等が指定して、現場で管理させる。
【管理薬剤師の兼務】
感染拡大防止策などにより薬局が閉鎖された場合(複合施設内に設置されている薬局など)、そこで務める管理薬剤師が他の薬局で業務を継続させる必要があり、薬局開設者等が管理薬剤師の業務を遂行するに当たって支障が生じないと認められる場合に限って一時的に管理薬剤師の兼務が認められ得る。
そのほかの詳細は厚生労働省の、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた薬局及び医薬品の販売業に係る取扱いについてをご確認ください。
6.こんなところでも管理薬剤師が活躍しています!
前項で紹介したような薬局やドラッグストア以外でも、医薬品卸企業や製薬企業で活躍する管理薬剤師もいます。
医薬品卸企業では、管理業務のほかに製薬企業と取引先をつなぐ役割を担うこともあります。また、医薬品販売における可否(適否)判断をおこなうなど、医薬品の流通やその法的準拠など幅広い知識が求められます。医薬品関連の多岐にわたる管理業務を担うため、その責任は大きいですがやりがいのあるポジションともいえます。
そして製薬企業では医薬品管理や行政機関への対応、新薬に関する申請、医薬品に関する問い合わせ対応が主な業務です。
この2つの職場で働く管理薬剤師は、医薬品卸企業ではMS(医薬品卸販売担当者)、製薬企業ではMR(医薬情報担当者)と呼ばれる営業担当者へ教育や指導をおこなう業務を担うことがあります。身につけた幅広い知識を十分に活かすことができ、多くの人に還元できる点もやりがいといえます。
このように、管理薬剤師は自身の知識や経験を活かすことができ、さらに給与水準も高めの職種です。管理能力の向上や幅広い知識の習得などスキルアップを目指したい人はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

