調剤や服薬指導が主な仕事内容の職場
調剤や服薬指導が主な仕事内容の職場にはどのような種類があるのでしょうか? 以下で見ていきましょう。
病院(病院薬剤師)、診療所
病院で勤務する薬剤師は、看護師やほかの医療従事者と連携をとりながら、入院患者に対して服薬指導をおこないます。また、外来患者にも服薬指導や処方箋に基づいた薬の調合をおこない、必要があれば薬や健康に関する相談にものるのが仕事内容です。さまざまな医療技術者と関わることになるので、コミュニケーション能力も大切です。
その一方で、病院に勤務しているからといって必ずしも患者と関わる機会があるとは限らないようです。病院薬剤師で患者と触れ合う機会が多くなるのは、仕事内容に「病と業務」や「服薬指導」が含まれている場合。そのため、患者と触れ合うことを希望して転職先を探す場合は、薬剤師の業務内容にも注意して求人を探してみましょう。
このほか、注射調剤業務や注射薬混合調剤業務、外来化学療法に使う薬のチェックや副作用の確認も薬剤師の仕事です。また、救急救命センターなど特殊な病院では、チーム医療の一員として薬の選択、投与量など迅速な判断が求められることもあります。同じ、病院薬剤師といっても、転職先の病院によって仕事内容が変わってくるので、どんな仕事内容が含まれているのかチェックしておきましょう。
調剤薬局(調剤薬剤師)
薬剤師の過半数以上が就職先として選んでいるのが調剤薬局です。薬剤師の人員が多いだけではなく、全国各地に薬局はあるため、場所を選ぶことなく就職できるというのが最大のメリットです。
「平成30年度 第2編 保健衛生 第4章 薬事(薬局数・無薬局町村寸、都道府県別)」によると、平成30年度末時点で全国にある薬局の総数はなんと58,678施設。中でも東京は6,604施設と最も多く、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫などの大都市では多くの薬局が存在します。
病院薬剤師との違いは、多数の病院からの処方箋を受けていれていることが多いという点です。そのため、さまざまな薬を扱うことが多くなりますが、その分知識が身につきやすいという点がメリットとして挙げられます。
調剤はもちろん業務の1つですが、薬剤師人員が少ない調剤薬局では監査業務を担当することもあります。監査とは、処方された薬剤が正しいものなのか、患者と薬剤のミスマッチは起きていないか、全ての薬を正しく調剤しているかなどをチェックすることです。監査が正しくおこなわれていないと、重大なミスを引き起こすことにつながるため、とても重要な役割です。
そして、服薬指導も大切な仕事です。薬の効能や効果のほか、アレルギー歴などを聞いて確認をおこなったり、飲み方の指導をしたりしていきます。また、調剤薬局事務員がいない場合は、処方箋の受付から会計まですべてを担当することもあります。
ドラッグストア
ドラッグストアは薬剤師のパート先やアルバイト先としても人気の職場です。もちろん、正社員としての求人もたくさんあります。
病院や調剤薬局との違いは、病気の人に限らず多くの人が来るということです。健康の相談や病気の予防、そして子供から高齢者まで幅広い人が対象となるので、地域貢献度の高い業務といえるでしょう。
また、ドラッグストアは「店舗販売業務の許可を受けて、要指導医薬品と一般用医薬品を販売することができるが調剤はできないお店」と、薬局の役割も担っており店舗内で調剤もおこなっているお店の2つのタイプがあります。
チェーン店の場合は、調剤をおこなわず、店舗販売だけのことが多いようです。それでも、要指導医薬品は薬剤師でなければ取り扱うことができないため、重宝されています。
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設とは、主に医療ケアやリハビリを目的とした人が入居している施設です。基本的には、自宅に戻ることを目的としているので、重症の高齢者がいないのが特徴です。ここでの薬剤師の仕事は、調剤や患者ごとの薬の管理、発注などがあり、業務的には調剤薬局などとそれほど変わりはありません。
しかし、高齢化社会に向けて、老人介護の現場で経験を積んでおくことは、将来のスキルアップに役立つはずです。調剤薬局のように、毎日新しい患者を対応するわけではなく、ほとんどは入所者とのやりとりになるため、人間関係が安定しやすいことも魅力の1つです。
また、介護老人保健施設(老健)では看護師や理学療法士などたくさんの医療従事者が関わることになりますが、薬剤師の数はそれほど多くありません。そのため、薬局勤務では得られない経験を積むことも可能。将来の高齢化社会に向けて、チーム医療の一員として経験を積んでおきたいという人に向いているといえるでしょう。
在宅訪問
在宅薬剤師は、在宅医療の一員として看護師などと一緒に訪問サービスをおこないます。仕事内容自体は、薬の調合や服薬説明など一般的な業務と変わりはありませんが、患者が薬局に来るのではなく、薬剤師自らが患者の家に出向くというのが大きな違いです。
また、在宅医療を利用する方の多くは高齢者である点も大きな違いです。そのため、服薬説明だけではなく、服薬がきちんとおこなわれているかどうかの状況確認や保管の状態をチェックするのも重要な役割の1つです。
薬剤師が在宅に派遣されるパターンは、主に「医師の指示を受けて行くもの」「薬局から必要に応じていくもの」「介護支援専門員から相談を受けて行くもの」「看護師や家族などから相談を受けて行くもの」の4つに分かれています。
近年は、高齢化社会に向けて医師や看護師の在宅医療の需要が高まってきていますが、薬剤師も同じです。在宅訪問診療に関わりたいという考えをもって、転職したいという人は、薬局や病院で在宅医療をおこなっているかどうかもチェックしておきましょう。
研究や開発メーカー関連会社でも活躍している薬剤師
薬剤師研究や開発メーカー関連会社でも活躍しています。以下で職場ごとの仕事内容を見ていきましょう。
製薬会社
製薬会社も薬剤師の人気の職場の1つです。ここでは治験に関わることも多く、新薬の臨床開発研究や新薬の安全性の確認と有効性の確認などの臨床試験をおこないます。このうち、新薬の臨床開発に携わりたい場合は、薬学部を卒業して薬剤師の免許を取得するだけではなく、博士課程を卒業することが必要です。
また、研究と開発は似ているように感じますが実は仕事内容は全くの別物。薬になる前の薬品を合成したり分析したりして、さまざまな実験をおこないながら研究をおこなっていくのが「研究職」です。動物実験や細胞を使った実験などもします。
一方、「開発職」の場合は、実際に人の体を使って実験(臨床試験)をおこなうのが主な仕事です。ここで、薬の安全性や有効性をチェックして、薬として正しく作用することができるのかどうかを確認していきます。
このほか、製薬会社では薬剤師としての知識をいかして治験コーディネーターやMRになることも可能です。
病院などに在中して、患者の治験をサポートしたり、説明するための資料作りをおこなったりするのが治験コーディネーターの仕事。医師や看護師、臨床検査技師などと連携するだけではなく、患者とのコミュニケーションをとることが大切になってきます。
そして、MRは医師や薬剤師に新薬の説明をしたり、営業をしたりするのが主な仕事内容です。病院や施設に出向いて、勉強会を開催することもあります。
卸売販売会社
卸売販売会社にも、薬剤師を常駐させることが義務づけられています。ここでは、管理薬剤師と呼ばれ、医療医薬品の品質管理をおこなったり、情報収集をおこなったりするのが必要な仕事です。薬について問い合わせがあることもあるため、薬事法を含めより詳しい薬の知識が必要とされています。
薬事第70号「管理薬剤師の管理及び勤務について」によると、薬局、医薬品製造業、医薬品輸入販売業及び医薬品販売業の業務について、開局中は常時直接管理の状態にあることを原則とすると記載されています。管理薬剤師がいない時は、販売業務をおこなってはいけないと禁止されているわけではないようですが、それだけ重要な役割を担っているということです。
化粧品メーカー
化粧品メーカーでも、研究などをおこなっているため薬剤師が活躍しています。中には薬剤師と共同で開発をおこなうケースも増えているので、化粧品に興味のある人や研究分野で活躍したいという人に向いています。
病院や調剤薬局のように服薬説明をしたり患者の相談にのったりということもなく、MRや治験コーディネーターのように医療従事者の人を相手にした営業活動のようなものもほとんどありません。そのため、あまり人と関わるのが苦手だと感じている人にも向いている職場だといえるでしょう。

