
民泊のオーナーにとって悩みの種になるのが、2018年に施行された住宅宿泊事業法、いわゆる「民泊新法」です。これを機に民泊ビジネスが正式に認められるようになった一方で、1年のうち約半分しか営業を認められない「180日縛り」が生まれました。ホテルの半分しか営業できない状況に何か突破法はあるのでしょうか。本記事では、辻哲哉氏の著書『最強の副業 民泊 小金持ちへの道』(扶桑社)より、民泊で365日営業するための条件について解説します。
民泊新法「180日縛り」の抜け道はない
民泊ビジネスをする上で避けて通れないのが、2018年(平成30年)に施行された「民泊新法」(正確には「住宅宿泊事業法」)の遵守です。民泊新法によって民泊がオーソライズされた訳ですが、同時に既存のホテル業・旅館業との競争制限として1年365日の約半分180日しか運営を認めない、いわゆる「180日縛り」が生まれました。
半年しか稼働できないので、収益的には厳しいと言えます。そのため投資家やオーナーはいかにして収益を上げるかに知恵を絞っています。さらには筆者のところにも、何か方策はないかと頻繁に聞かれますが、はっきり言って困難です。
現時点で、「民泊施設として180日縛りの抜け道はない」と考えておくべきでしょう。
ハイブリッド(マンスリー&時間貸し)の限界
「180日縛り」の解決策の一つとして「ウィークリーマンション」として稼働させる、というものがあります。ただし、「ウィークリーマンション」として運営するには旅館業の許可が必要になります。
マンスリーマンションの場合、ホテルなどと違って宿泊予約は数カ月前ではなく、数週間前や直前の週に入るケースが多く、そうすると民泊客の予約とバッティングし、うまくいきません。
それでは、「時間貸し」で運用するのはどうでしょう。
例えば1時間2,000円、4時間で8,000円を利用者から頂戴するとして、清掃スタッフの派遣などで最低3,000円がかかるため、オーナーにとって収益的にうまみがあまりないのです。
そのため、無許可で180日を超えて営業する(違法です)場合ですが、Airbnbなどの予約サイトと観光庁が「API連携」しており、違法営業はすぐにばれます。
APIとは「アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)」で、一言でいえば、異なるソフトやデジタルサービスを繋ぐ(インターフェース=連動する)機能です。
このAPI連携は、いまやあらゆる分野で使われています。ここでは予約サイトの情報が自動的に観光庁と「連携」されていることを指します。
それでは、旅館業として運営するために、最初から行政書士を入れて物件調査をし、購入するなり、借りたりして運営する訳ですが、実際はそこまでして稼働させようとするオーナーは少ないでしょう。安易に180日民泊を選ぶ方が多いのも事実です。2025年に入ってからは旅館業を選ぶオーナーが増えてきました。
先ほどの「API連携」の抜け道として、自社で予約サイトを作り(10万円から20万円でできます)、ゲストを集客しようと考える人もいます。ここで問題なのは、Airbnbなどの大手に登録していないので、検索しても自社物件が出てこないことです。
そこで検索結果で上位を目指すよう、月10万円から20万円を費やしてSEO対策(検索エンジン最適化)、SNS広告をすることになります。これではよほど儲からない限り、トントンか赤字になってしまいます。
