3.ガイドヘルパーの仕事内容
ガイドヘルパーの仕事は、ただ利用者を目的地に送り届けるだけではありません。支援する対象によって必要とされるサポート内容が異なります。ここからは、支援の種類ごとの仕事内容を詳しく紹介します。
同行援護
同行援護では、視覚障がいのある利用者が安心して外出できるよう、周囲の状況を言葉で伝えます。例えば、現在時刻や段差の有無、道路標識の内容を適切に説明し、利用者が状況を正確に把握できるようサポートします。
さらに、役所や病院での書類の記入や、掲示物や食事メニューの読み上げなど、代筆や代読も同行援護の重要な業務です。
生活に必要不可欠な通院や買い物などのほかに、余暇活動としてのスポーツ観戦やコンサート鑑賞も支援の対象となるため、目にみえる情報をわかりやすく伝える能力が求められます。
行動援護
精神や知的障がいがある人の外出を支援する行動援護の仕事内容は、大きく分けて予防的対応・制御的対応・身体介護的対応の3つに分類されます。
(1)予防的対応
利用者が外出時に不安になることを防ぐ対応のことを指します。精神障がいのある人は、不測の事態が起きるとパニック行動を起こしてしまうことがあります。そのため、支援中には、不安を和らげるための声かけや、順序立てたわかりやすい説明など、心理的サポートや配慮が求められます。
(2)制御的対応
利用者が危険を認識できず不適切な行動や、パニック行動を起こした場合に、安全を確保しつつ適切に収める対応を指します。どれだけ事前準備をしていても、予期せぬトラブルが発生することがあるため、状況に応じた柔軟な対応が求められます。
(3)身体介護的対応
便意を認識できない人の排泄介助や、外出時の食事介助、外出前後の衣服の着脱介助などの対応を指します。
移動支援
障がいや病気などで移動が困難な人を対象とする移動支援は、個別支援・グループ支援・車両移送型支援の3つに分類され、それぞれ仕事内容が異なります。
(1)個別支援
利用者一人に対してヘルパー一人が対応し、出発直前から帰宅直後までサポートをおこないます。出発直前は持ち物の確認や車椅子の準備、外出中は公共交通機関の利用補助やコミュニケーション支援、帰宅直後は手荷物確認や車椅子の片付けなどをおこない、利用者の外出をサポートします。
(2)グループ支援
一人のガイドヘルパーが複数の利用者の移動を支援します。主な利用シーンは、学校から習い事への集団移動や、複数人での施設からの外出などが挙げられます。地域によっては、ガイドヘルパーが複数人いる場合に限り、車両移動を含む支援をおこなう場合もあります。
(3)車両移送型支援
福祉輸送限定タクシー事業者などが提供するサービスです。福祉バスの巡回や、車両への乗降介助や乗車前後の移動補助、目的地までの移送を支援します。
ガイドヘルパーができない仕事
国の管轄のもと提供される同行援護・行動援護では、以下の外出は支援の対象外となります。
- 通勤や営業活動など経済活動に関わる外出
- 通学や透析患者の通院など通年かつ長期にわたる外出
- ギャンブルや飲酒を伴う外出など社会通念上適当でない外出
- 布教活動や政治活動
個別給付の支援対象外となる外出は、地域生活支援事業でカバーされる場合があります。地域によっては、特別支援学校への通学や、飲酒を伴う外出なども移動支援の対象となることがあります。
4.ガイドヘルパーになるために必要な資格
ガイドヘルパーとして働くには、同行援護・行動援護・移動支援の各サービスごとに実施される養成研修を修了する必要があります。ここからはガイドヘルパーとして働くために受講が必要な養成研修を紹介していきます。
同行援護従業者養成研修
同行援護をするためには、同行援護従業者養成研修を受ける必要があります。ガイドヘルパーとして従事する場合は、一般課程を修了することで要件を満たせますが、サービス提供責任者になる場合は、一般課程に加えて応用課程も受講する必要があります。
なお、2025年4月以降、同行援護従業者養成研修のカリキュラムが改正されます。ただし、盲ろう者向け通訳や介助員養成研修を修了している人の場合、2028年3月まで現行のカリキュラムで資格を取得できます。
現行 | 改正後(案) 2025年4月〜 | |
|---|---|---|
カリキュラム | 〈一般課程〉 講義 ・視覚障がい者(児)福祉サービス ・同行援護の制度と従業者の業務 ・障がい・疾病の理解1 ・障がい者(児)の心理1 ・情報支援と情報提供 ・代筆・代読の基礎知識 ・同行援護の基礎知識
・基本技能 ・応用技能 | 〈一般課程〉 講義 ・外出保障 ・視覚障がい者の理解と疾病1 ・視覚障がい者の理解と疾病2 ・視覚障がい者(児)の心理 ・視覚障がい者(児)福祉の制度とサービス ・同行援護の制度 ・同行援護従業者の実際と職業倫理
・情報提供 ・代筆・代読1 ・代筆・代読2
・誘導の基本技術1 ・誘導の基本技術2 ・誘導の応用技術(場面別・街歩き)1 ・誘導の応用技術(場面別・街歩き)2 ・交通機関の利用 |
〈応用課程〉 講義 ・障がい・疾病の理解2 ・障がい者(児)の心理2
・場面別基本技能 ・場面別応用技能 ・交通機関の利用 | 〈応用課程〉 講義 ・サービス提供責任者の業務 ・さまざまな利用者への対応 ・個別支援計画と他機関との連携 ・業務上のリスクマネジメント ・従業者研修の実施 ・同行援護の実務上の留意点 | |
費用 | 1万5,000円〜5万円程度 | |
期間 | 20時間程度 | 28時間程度 |
改正前の同行援護従業者養成研修の一般課程では、主に視覚障がいに関する知識や、情報支援、代筆などの基本的な同行援護の技術を学びます。応用課程では、より専門的な障がいに関する知識や、交通機関を利用する場合の支援技術などを学びます。
改正後は、一般課程の演習が8時間増加し、より実践的な内容が追加されます。それに伴い応用課程は6時間短縮され、サービス責任者の業務を中心とした講義へ変更されます。
行動援護従業者養成研修
行動援護をするためには、行動援護従業者養成研修を受ける必要があります。この研修は、一部の研修機関ではオンラインでも受講できます。
カリキュラム | 講義 ・強度行動障がいがある者の基本的理解 ・強度行動障がいに関する制度及び支援技術の基礎的な知識 ・強度行動障がいがある者へのチーム支援 ・強度行動障がいと生活の組立て
・基本的な情報収集と記録等の共有 ・行動障がいがある者の固有のコミュニケーションの理解 ・行動障がいの背景にある特性の理解 ・障がい特性の理解とアセスメント ・環境調整による強度行動障がいの支援 ・記録に基づく支援の評価 ・危機対応と虐待防止 |
|---|---|
費用 | 3万円〜5万円程度 |
期間 | 24時間程度 |
行動援護従業者養成研修では主に知的障がい・精神障がいのある人の移動に関する介護知識や、コミュニケーション方法を学びます。
また、行動援護従業者養成研修と似た研修として、強度行動障害支援者養成研修があります。この研修は、行動援護従業者養成研修と同じカリキュラムを、基礎研修と実践研修の2つに分けて実施するものです。そのため、強度行動障害支援者養成研修の基礎・実践研修を修了している場合も、行動援護の資格要件を満たすことができます。
移動支援従業者養成研修(全身性障害課程)
移動支援の事業所で、四肢まひや筋力低下などの機能障がいのある人に支援をおこなうには、移動支援従業者養成研修(全身性障害課程)を受ける必要があります。なお、移動支援事業は地域生活支援事業として提供されるため、地域の特性やニーズによって講習内容が異なる場合があります。
カリキュラム | 東京都の例 講義 ・障害者福祉に関する制度およびサービス ・身体障害者ホームヘルプサービスに関する知識 ・サービス利用者の理解 ・移動支援の基礎知識 演習 ・車椅子での移動の支援に関わる技術 ・基礎的な介護技術 ・移動支援の方法 |
|---|---|
費用 | 無料〜4万円程度 |
期間 | 16〜20時間程度 |
移動支援従業者養成研修では、主にホームヘルプサービスに関する知識や、車椅子移動の支援技術を学びます。
なお、地域によって研修内容や講座の名称が異なる場合がありますが、「移動支援従業者養成研修全身性障害課程の修了証明書」を取得できる研修であれば、別の自治体でも資格を活用できます。

