
「お酒は控えたいけれど、食事の場は華やかに楽しみたい」。そんな特別な日におすすめするのが、古代からのスーパーフード「ザクロ」と「サジー」を使ったノンアルコールカクテルです。混ぜるだけで作れるのに、その味わいと見た目は、まるで赤ワインのような美しさ。抗酸化作用やビタミンなど、美容と健康をサポートしながら心まで満たしてくれる、「我慢しない休肝日」のためのレシピを園芸家でありハーバルセラピストでもある太田敦雄さんに教えていただきます。年末年始のお酒の代わりに、ぜひお試しを。
果実の恵みを生かしたノンアルコールカクテルを手作りで

お酒は控えたいなと思いつつも、ついつい夕食時にお酒を飲んでしまうことってありますよね。今回は、料理にも合ってお酒のように気分も上がり、かつ美容や健康のサポートにもなる簡単レシピのノンアルコールカクテルを紹介します。

一年の締めくくりと新年を迎える、冬の華やぎの季節。お祝いの席や集まりが増え、お酒をいただく機会も多くなりますよね。
でもじつは、アルコールを控えながらも「雰囲気は楽しみたい」「美味しくて、華やかで、身体にもよいものが飲みたい」という方が年々増えているように感じます。

今回は園芸家でメディカルハーブのセラピスト資格者でもある私・太田敦雄も最近夕食のお供に飲んでいる「植物学×美容健康×ノンアルコールの楽しさ」を組み合わせた “華やぎ美健ドリンク”をご紹介します。
主役は庭でも収穫できる果実、ザクロ(Punica granatum)とサジー(Hippophae rhamnoides)です。
どちらも、古代から人類と深く関わってきた特別な果実。近年ではスーパーフードとしても注目されていますよね。
ザクロとサジー —— 2つの果実の植物学と人類史
ザクロ(Punica granatum)—— 人類最古の“豊穣”の果実
中東から地中海沿岸を原産とするザクロは、古代ペルシア文明やギリシャ神話において「生命」「再生」「繁栄」 の象徴とされてきました。

内部にぎっしり並ぶルビー色の果粒は、豊穣のメタファーとして古代王侯の装飾にも使われ、人類に3,000年以上愛されてきた植物です。

植物学的にはミソハギ科に属し、強い日差しと乾燥に耐える常緑低木〜小高木です。日本でも、現代的というよりはどちらかというと昭和っぽいお庭でザクロの樹が植えてあることも多いですよね。

ザクロは、園芸的に見ても、古木になると幹がトルネード状にねじれる姿が風格を感じさせてカッコよかったり、夏に咲くオレンジ色の花がやがてオーナメンタルな実となり、秋に熟して実がカパッと割れた時のちょっとグロテスクな様子のサプライズ、あまり知られていない鮮やかな秋の黄葉など、見どころの多い果樹です。

育てやすくて食用にもできて庭映えもよいとは、植えない理由がないですよね。
庭植えで育ててみてもとても面白いでしょう。
ザクロの強健な生命力は、果実がもつ豊富なポリフェノール・アントシアニン・ビタミン類にも表れています。

ザクロ果汁の深く透明感のあるガーネット色は、どこかピノ・ノワール種の赤ワインを思わせ、“飲む宝石” とも言いたくなる美しさがあります。
サジー(Hippophae rhamnoides)——過酷な環境を生き抜く“黄金の果実”

サジーはユーラシア大陸の乾燥地や寒冷地に自生するグミ科の低木〜中木です。
学名の Hippophae は、hippo(馬)+ phae(輝く)=「馬を輝かせる」 が語源とされ、古代ギリシャでは馬を元気に育てる飼料として用いられていた記録もあります。
その小さな黄オレンジ色の果実には、驚くほどの栄養素が凝縮されており、近年、スーパーフードとしても注目されています。

- ビタミンC(レモンの約10倍以上)
- ビタミンE・βカロテン
- 鉄・亜鉛・ミネラル類
- 多彩なポリフェノール
- オメガ 3/ 6/ 7/ 9脂肪酸
まさに野生が生んだ“濃縮された生命力”。酸味が非常に強く、単体ではクセを感じる人も多いのですが、他の素材と組み合わせてサジーの複雑な風味を生かすと、驚くほど美味しくなります。
日本では流通が少ないですが、サジーの樹もザクロ同様性質が強く、日本の気候環境でも育てやすいです。

雌雄別木となる種なので、雌木と雄木の両方を植えることで結実します。花は小さく目立ちにくいですが、鮮やかなオレンジ色の果実が枝いっぱいに実る姿は、園芸的に見ても観賞価値が高いので、たとえば宿根草植栽などに織り交ぜて植えて収穫の楽しみをプラスするのも面白いでしょう。
