3.過渡的措置について
地域薬学ケア専門薬剤師の認定開始は2021年ですが、そこから5年以上の研修を受けなければいけないため、通常であれば最初の地域薬学ケア専門薬剤師の誕生は2026年となってしまいます。
そこで、一定の条件を満たした希望者については、過渡的措置として「暫定認定」がおこなわれます。
この過渡的措置では、暫定的に地域薬学ケア専門薬剤師としての認定を受けたのちに、5年間の研修がスタートされます。
■暫定認定の申請要件
地域薬学ケア専門薬剤師の暫定認定における要件は、症例報告やクレジットの履修などが緩和されています。
暫定認定の詳しい要件は次の通りです。
(1)以下のいずれかを有していること
- 日本薬剤師会「JPALS認定薬剤師」
- 日本薬剤師研修センター「研修認定薬剤師」
- 日本病院薬剤師会「日病薬病院薬学認定薬剤師」「日病薬生涯研修履修認定薬剤師」
- 日本医療薬学会「認定薬剤師」
(2)実務歴が5年以上
(3)申請時に日本医療薬学会の会員であること
(4)学会発表(筆頭)が1回以上、もしくは論文(筆頭)が1報以上あること
(5)学会等参加・発表単位を、20単位以上取得していること
(6)上記の1から5の条件を全て満たす者で、本学会委員会の選考を経て、理事会で承認された者
なお、この暫定措置は2020年〜2024年までの申請が対象となっています。初回の更新までに、地域薬学ケア専門薬剤師としての正式な要件を満たしていないと、認定資格は消失するので注意しましょう。
4.今後のスケジュール
最後に、あらためて地域薬学ケア専門薬剤師制度の今後のスケジュールを確認しておきましょう。
まず、2020年9〜10月に暫定認定申請の受付が開始され、委員会の審査を経て、2021年1月には最初の地域薬学ケア専門薬剤師が暫定的に誕生します。
その後、2021年4月から5年間の研修がスタートする予定となっています。

地域薬学ケア専門薬剤師として正式な認定を受けるには、5年もの間ほぼ週1回のペースで病院のカンファレンスに参加しなければいけないので、働きながら認定を目指す薬剤師にとっては少し高いハードルと言えます。
しかし超高齢社会となった日本において、地域医療と介護ケアにおける薬剤師の連携は必須となるため、これらの専門知識を持った「地域薬学ケア専門薬剤師」は重宝されることでしょう。
薬剤師としての今後の可能性を広げるためにも、目指してみてはいかがでしょうか?

