園長になるまでのルートは?
園長になるルートは大きく分けて4つあります。
①家族経営の後継ぎ
家族経営をおこなっている園では、創設者の親族や子どもに受け継がれていく場合が多いです。保育士として長くその園に勤めても、親族でなければ園長になれないこともあります。
②主任などから昇格
家族経営にこだわりのない園や、企業が運営する保育園では、勤務年数や経験年数によって園長まで昇格していくこともあります。
③求人から
新規開園のタイミングで、園長職、または園長候補として求人が出ていることもあります。近年は保育園が増加傾向にあり、企業主導型保育施設も増えているので、園長候補として採用をおこなうことも増えてきました。
④新規開園
自分で保育園を開園すれば、自分自身が園長職に就くことができます。
長く勤めていても園長になれるとは限らないので、どのルートから園長を目指すかを考えることがポイントですね。
園長に必要なことは?
園長の仕事内容を考えると、経営視点での管理能力や制度的な知識が必要となります。また、職員や保護者など人と多く関わる立場ですので、コミュニケーション能力やリーダーシップも求められます。
私立の保育園では無資格でも園長になることができますが、保育に対する知識や理解がないと、実際に子どもたちに保育をおこなう保育士との間にズレが生じてしまい、結果的に保育の質や職員の満足度が下がってしまう場面も見てきました。
保育園の経営と保育者としての視点がバランス良く保たれているのが理想の園長ではないでしょうか。
園長の役割についても、認可保育園の園長先生にお話を伺いました。
<園長歴5年 I先生>
園長は「組織の調整役」だと思っています。園長として意識していることは、「誠意」と「ブレない姿勢」です。園長の立場になるとあらゆることを動かせる力を持つので、その立場に驕らないよう日々意識しています。
「ブレない姿勢」を保つために、言っていることとやっていること、以前に言ったこととのズレがないよう、会議の議事録を取ったり、保育の目的や意識してほしいこと、職員同士で大切にしていきたいことなどをマニュアルとしてまとめたりしています。また、職員一人ひとりの人生を預かっているという覚悟も必要ですね。
園のリーダーであり、仕事の方向性を示す立場である園長の姿勢は重要であると考えます。保育に限らず、勤務体制や園長の一つひとつの言動など、小さなことから職員の不信感が生まれ、結果的に仕事の質が下がったり、人間関係の悪化、退職(=保育士不足)につながってしまいます。
職員を大切にする園長の下で仕事をしていると職員一人ひとりの満足度が高まり、その満足度は子どもへと還元されます。
自身も保育士として働いていた経験から、日頃の保育や取り組みについて「良かったね」「頑張っていたね」と、一言声をかけられるだけでも園長とのつながりを感じられ、非常に満足度が高まりました。
園長は職員と顔を合わせる回数も少ない立場なので、積極的に現場での出来事を把握したり、保育士との関係づくりをおこなっていくと組織としてうまく成り立っていくのではないかと考えます。
幅広い知識や人間力が必要となる職種ですが、園長は職員一人ひとりの人生に関わり、子どもたちの未来をつくることができるやりがいのある仕事ですよ。

