ICUに関わる職種
ICUには医師、薬剤師、看護師、セラピストなど多くの職種が関わっています。ICU看護を実践するために、急性・重症専門看護師や集中ケア認定看護師が配属されている施設も多く、職種に関係なく呼吸療法認定士を取得しているスタッフもいます。
また、ICUの特殊性から人工呼吸器などの医療機器を管理する臨床工学技士を配属している施設もあります。
ICU看護の特徴
ここまでに触れてきた「ICU看護」とは、具体的にどのようなものでしょうか?
ICU看護の特徴として、すべての看護領域の中で、ICU看護師はもっとも病態生理に精通していると思います。
ICU看護師は、時に「ミニドクター」と言われながらも、急変しやすい患者の臨床状態とモニターの数値を即座に病態的にアセスメントする能力・技術が絶対に必要だからです。
ICU看護は、すぐに反応があり、患者が安定する喜びもありますが、死に立ち会うことも少なくありません。
自分のアセスメントに抜けがなかったか、患者の不安に対応するだけでなく、なぜここにいないといけないのかわかっていない患者の行動から、声なき声を聴き、見えないものを見る看護をしています。
ICU看護師は常に医療と看護の根拠を考えて行動し、「看護者本位になっていないか?」と振り返っています。
そして、ICU看護師は、安楽に生活することが難しい場だからこそ、セラピストと協力して人工呼吸器を着けたまま立ち、大きな窓から外を眺め、ベッドに簡易的なビニールのお風呂を設置して患者の身体を温め、できるだけ普通に過ごせる環境づくりを大切にしています。
ICU看護のもう1つの特徴は家族の支援です。
患者が生命の危機に合っている…家族は、心配やストレスの感情をICU看護師にぶつけてくることもあります。家族間でも価値観はさまざまで、家族の感情が揺れ動く中で日々価値観が変化している場合もあります。
ICUでは、面会時間と人数が決められていることも多いので、適切に患者の状態を伝えつつ家族の状態も把握し、時間が足りないようだと別に家族面談の時間を設けたりします。
その時に重要なことは、自分の価値観を入れないことです。意見を求められることも多いのですが、家族の価値観を全面的に支援するスタンスを心がけています。
ここまで読んで、「ICU看護って難しい」と感じた方もいるかもしれません。これらは、ICU看護の一側面でありすべてではありません。
たしかにICU看護師は、常に高いアセスメント能力と早い判断力を求められています。
緊張する業務も多いですが、ICU看護師たちが「ICU看護の回復支援が楽しい」と言っていることも事実です。
そして私は、ICU看護師として大事なことは“笑顔”だと思います。患者への笑顔、家族への笑顔、スタッフへの笑顔を心掛け、緊張感を和らげる環境を意識してつくることがICU看護の土台だと思います。

