
1.認知症介護基礎研修とは
認知症について最低限知っておきたい知識を学ぶ
認知症介護基礎研修は、認知症の人を介護するうえで必要な基礎知識・技術の習得を目的とした公的研修です。2015年に策定された「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」に基づき、2016年度から開始されました。
認知症介護に関する公的研修はいくつか種類があり、認知症介護基礎研修はその入門として位置づけられています。受講時間が短く一日で修了できます。

2024年度から介護職員の受講が義務化
2021年4月の介護報酬改定に伴い、無資格で認知症ケアに携わる介護職員の認知症介護基礎研修の受講が義務付けられました。2021年4月から2024年3月末までの3年間は経過措置期間のため未受講でも働くことができますが、2024年4月以降に無資格で受講していない場合は働くことができなくなります。
なお、受講の対象となる職員(新卒・中途を問わない)が新たに入職した場合は、入職後1年以内に受講する必要があります。
tips|初任者研修との違いは?
介護の入門資格といわれる「介護職員初任者研修(略称:初任者研修)」は、介護業務に必要な最低限の知識、技術、考え方を習得するための研修で、認知症や障がいについての学習も含みます。誰でも受講でき、修了すると訪問介護員(ホームヘルパー)として働くことができます。受講時間は約130時間(最短1ヶ月程度)です。
初任者研修は学習範囲が広く修了までの時間も長いですが、認知症介護基礎研修は全員必修であることからも限定的な学習範囲を一日で修了できる点が大きな違いです。
2.認知症介護基礎研修の対象者
無資格の介護従事者が対象
受講が義務付けられる対象者は、すべての介護サービス事業所で直接介護に携わる無資格の従業員です(福祉用具貸与、居宅介護支援を除く)。
受講が免除される人
すでに医療福祉分野の国家資格を保有している、もしくは介護職員初任者研修や認知症介護実践者研修などの公的研修を修了している場合は受講の必要はありません。
〈受講が免除される資格〉
看護師、准看護師、介護福祉士、社会福祉士、医師、歯科医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士、管理栄養士、栄養士、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、はり師、きゅう師、介護支援専門員
〈受講が免除される研修〉
実務者研修、介護職員初任者研修、生活援助従事者研修、介護職員基礎研修課程、訪問介護員養成研修一級課程・二級課程、認知症介護実践者研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者研修 など
ただし、社会福祉主事の任用資格は免除の対象となりません。
また、学校で認知症に関わる科目を受講している場合や、直接介護に携わらない職員も免除されます。
〈受講が免除されるその他の条件〉
- 福祉系高校で認知症に関する科目を受講している(卒業証明書が必要)
- 養成施設で認知症に関する科目を受講している(卒業証明書および履修科目証明書が必要)
- 人員配置基準上、従業員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わる可能性がない者
認知症の「民間資格」は免除されない
認知症ケアの民間資格である認知症サポーター養成講座、認知症ケア指導管理士などは持っていても免除対象とならないため、受講が必要です。

