いつまでも輝く女性に ranune
「窓を開けろ!」深夜の道路で“あおり運転”してきた黒いセダンが警察に捕まるまで――大反響セレクション

「窓を開けろ!」深夜の道路で“あおり運転”してきた黒いセダンが警察に捕まるまで――大反響セレクション

◆黒いセダンの恐怖


大きな道路を走る車
 山田智久さん(仮名・30代)は、仕事が長引き、会社を出たのが夜10時半を過ぎていた。遅い時間の帰宅は珍しくなく、慣れた道をいつも通りに走っていたという。

 街灯がぽつぽつとしかない県道に入ったあたりで、バックミラーいっぱいに強烈なライトが映り込んだという。

「やけに飛ばしてる車だな……」

 そう思ったのも束の間、どんどん車間を詰めてきたようだ。ミラー越しでも、相手の車のフロント部分がはっきりと見えるほどの近さだった。

「嫌な予感がしました。左右に車体を振るように近づいてきて、幅寄せするような動きまでしてきます。『なんなんだよ!』と声を出しつつもスピードは一定に保って、挑発には乗らないようにしました」

◆通報直後の逮捕劇


 しかし、相手は急に右側から抜いてきて前に割り込み、わざとゆっくりと走った。ブレーキランプが何度も赤く灯るたびに、山田さんも慌てて減速したそうだ。

「手のひらが、汗でびっしょりでした」

 信号待ちで横並びになった瞬間、危険だと判断。110番通報をすることに……。

「県道を南に向かって走っています。黒いセダンで、ナンバーは……」

 必死に状況を説明した山田さんは、自分の声が震えているのがわかったという。

 信号が青に変わると、相手は急加速。そして、窓から“何か”を投げつけた。カランという音とともに“空き缶”が道に転がった。

「当たらなかったけど、全身がびくっとしました」

 数百メートル先、交差点の脇にはパトカーが止まっていた。通報を受けて待機していたようで、相手はその目の前で黄色信号を無理やり突破したが、結局は車を止められた。山田さんは、少し離れた場所に車を止めて、警察官に事情を説明した。

「さっきまで威圧的だった相手は、肩をすくめて視線を落としていましたね。恐怖は残っていましたが、“ざまぁみろ”って気持ちも同時にありました」

 帰り道、窓から入ってくる夜風が妙に心地よく感じられたようだ。

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
配信元: 日刊SPA!

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