◆朝の新幹線で隣に座った美女
吉岡さんは、新幹線での出張は慣れたもので、座席は決まって進行方向右側の窓際。朝早く、大阪へ向かう列車に乗り込むと、駅弁を手にほっと一息ついたそうです。
「ほのかに漂う上品な香りに満足しながら、私は幕の内弁当を食べていました。彼女は、500mlのペットボトルで水分を補給しながら、しきりにスマホを見ていましたね」
吉岡さんが食べ終わったころ、新幹線は三島駅を過ぎたあたりでした。吉岡さんは、お腹も満たされ少し眠気に襲われていたそうです。
◆「荷物を見てほしい」の一言
食事が終わってしばらくした頃、女性が小声でこう頼んできたそうです。「すみません、少し席を立つのでスーツケース見ていてもらえませんか?」
吉岡さんは迷わず承諾し、残されたスーツケースを少しだけ自分の方へ移動させたといいます。
「彼女の表情はなぜか真剣な眼差しでした。私も断る理由などはなく、どうせトイレかデッキでの電話だろうからすぐ戻ってくると思っていました」と吉岡さん。
女性は席を立ち、車両の端へ歩いていきました。吉岡さんは荷物を見張りながら、駅弁の余韻に浸っていました。しかし、それが長時間の拘束につながるとは予想していなかったそうです。

