◆全然戻ってこない女性
30分、45分……時間が経過しても女性は戻らず、吉岡さんは次第に焦りを感じたといいます。やがて尿意が襲ってきました。「もう我慢の限界かもしれないと思いました。でも、荷物を置いて席を離れるわけにはいかない。『頼まれたからには責任を全うする』という気持ちが勝って、トイレに行けませんでした」と吉岡さん。
車窓の景色を眺めながら、気を紛らわせようとしましたが、効果は一時的。米原駅を過ぎるころには、完全に耐久戦となっていたそうです。
「心の中で『もうすぐ京都だ、そこまで我慢しよう』と必死でした」と吉岡さんは苦笑いします。周囲の乗客は特に気づかなかったそうですが、本人にとっては車内での1時間が長く、まさに精神的にも肉体的にも戦いだったといいます。
◆長時間の離席理由が明らかに
ようやく京都駅に近づいたころ、吉岡さんは耐えきれず立ち上がりました。すると、デッキで立ったまま電話している女性の姿を発見しました。その場で思わず彼女を凝視していた吉岡さん。女性は電話を切ると、申し訳なさそうに平謝り。
「すみません、本当にすみません!」
席まで一緒に戻り話を聞くと、女性は東京在住で、大阪にいる彼氏と別れ話をしていたところだったそうです。席を立ってすぐに彼氏から電話が入り、会話が長引いてしまったとのこと。
「電話の内容を聞いたわけではありませんが、かなり揉めていたみたいです。私も事情は理解しましたけど、正直かなり疲れました」と吉岡さん。

