貸借対照表(B/S):資産・負債・純資産の意味
貸借対照表は「バランスシート(B/S)」とも言われ、大きく分けて「資産」「負債」「純資産」で構成されます。
株式会社の場合、株式を発行し株主からの出資を受けて会社がスタートします。株主が出資した部分、つまり株主に帰属する部分のことを「純資産」と言います。
ただ、それだけでは経営ができないという場合、銀行などからお金を借りることになります。これはいつか返さなければならないので「負債」という位置づけになります。

この純資産と負債を合わせると「資産」になります。
株主が出資してくれたお金と銀行が貸してくれたお金、上の例では250万円です。会社スタート当初、この250万円が資産となり、今は現金で30万円、残り220万円は預金にしているということが貸借対照表から分かります。
貸借対照表は必ず「資産の合計」と「負債+純資産の合計」が一致します。つまりバランスが取れているのでバランスシートとも言われます。なお、バランスには「残高」という意味があります。その時点における会社の財産の残高を整理してまとめているシートであると理解すると分かりやすいです。
会社が日々営業活動を行えば様々な取り引きが生じ、この貸借対照表にも様々な科目を使い表現することになりますので、それぞれをもう少し細かく見ていきましょう。
<資産の部>
資産の部は大きく「流動資産」と「固定資産」に分けられます。
<流動資産>
現金
小口現金
預金
売掛金
受取手形
棚卸資産(商品)
<固定資産>
土地
建物
機械
のれん
特許権
流動資産とは、現金や預金のように換金性が高く、すぐに支払いや返済などに使える資産のことを言います。一方、固定資産は不動産などすぐに換金するのが難しい資産のことを言います。いくら資産をたくさん持っていても、借入金の返済日に「固定資産」しかなかったら、借金を返済できないという状況になりかねません。このことからも、ある程度流動資産を有しておくことが重要だと分かります。
なお「売掛金」はいわゆる「ツケ」です。売り上げたもののまだお金は回収できていません。「受取手形」も同様です。貸借対照表では「いつか払ってもらえる」という前提で「資産」として認識していますが、現時点では「お金を受け取れる権利」でしかないのです。よって、より経営状況を把握するためにキャッシュフロー計算書が必要であるという点はご理解いただけると思います。
<負債の部>
負債も同じく「流動負債」と「固定負債」に分かれます。
<流動負債>
短期借入金
未払費用
未払法人税等
<固定負債>
長期借入金
返済や税金など支払わなければならないもののうち、1年以内に返済日や支払日が来るものを「流動負債」と言います。一方、返済まで1年超期間があるものを「固定負債」と言います。
借りたものはいずれ返さなければなりません。それが明日なのか、3年後なのかでは大きく状況が異なります。そのため、このように流動負債と固定負債に分けて把握するのです。
なお「流動比率」という分析の仕方があります。これは流動資産÷流動負債×100で計算します。流動負債は比較的早く返済しなければならない負債です。そのための資金はできれば手元や預金などすぐに払える状態にして持っていたいものです。
流動比率は、流動負債に対して流動資産はどれくらいあるのかを調べる計算です。下の貸借対照表のイメージだと、流動負債より流動資産の方が多いということが分かります。1年以内の借金返済で、「手元資金がないから工場を売却して換金しなければならない」という事態は避けることができそうです。

<純資産の部>
純資産の部はやや会計の専門的な話になりますが、前述のように「株主に帰属するもの」つまり最終的に「株主のものになる資産」という位置づけです。
〈純資産〉
資本金
資本剰余金
利益剰余金
その他有価証券評価差額金
純資産は、初めは株主が出資したお金で形成されています。その後、会社が利益を計上できれば、剰余金といった科目で純資産が積み上げられることになります。会社が赤字続きだと、この純資産はどんどん減っていきます。
損益計算書(P/L):利益や損失の仕組みを知る
損益計算書も貸借対照表同様、左右が一致するように描写すると分かりやすいです。
左側に決算期間にかかった費用や仕入などの経費を集計し、右側に売上を計上します。図のように経費よりも売上が多ければその差額を利益として認識することができます。損益計算書は文字通り「損をしているか、利益が出ているか」確認できるシンプルな考え方のものです。

