いつまでも輝く女性に ranune
【更年期エピソード】「漠然と何かが足りない感じ」

【更年期エピソード】「漠然と何かが足りない感じ」

閉経前後で心や体が大きく変化する「更年期」。
英語では更年期を「The change of life」と表現します。
その言葉通り、また新たなステージへ進むこの時期をどう過ごしていったらいいのか—。
聞き手にキュレーターの石田紀佳さんを迎え、さまざまな女性が歩んだ「それぞれの更年期」のエピソードを伺います。

今回お話を伺ったのは・・・
堀口博子さん
1954年小田原生まれ。フリーランスのエディターを経て、一般社団法人「エディブル・スクールヤード・ジャパン」代表に。現在は湯河原在住。
https://www.edibleschoolyard-japan.org/

ライフワークにつながる40代での出合い

「アートシーンやファッション業界のエディターをしていたので、農業とはまったく無縁でした。でも、40代の半ばからの変化の途上で、八重山の『ぐんぼう(芭蕉や苧麻、絹、木綿などを合わせて織った織物)』の生まれる場所を訪れ、その世界の美しさに心打たれました。その根源をもっともっと知りたいと思うようになりました」
 
西表島の染織作家の畑で風にそよぐ糸芭蕉の葉、大木の根元に置かれたかめで発酵する藍、土から生まれた布は海で洗われ、豊作を祝う祭りではその布で仕立てられた衣をまとう……。
この一連の美しい出合いが、堀口博子さんの現在のライフワークである「エディブル・スクールヤード」への扉を開く一つの鍵となった。
 
筆者が堀口博子さんと出会ったのもその頃。
まさに前述の西表島の布に関わる仕事でご一緒したのだが、それが博子さんと農の世界との僥倖の只中だったとはまったく知らなかった。

今年71歳になる博子さんのチェンジオブライフの背景に何があったのか。
20数年ぶりに再会してお聞きすることになった。

漠然と、何かが足りない感じ

43歳の頃にいわゆる更年期のほてりを感じ、体調もよくないし、これまでと同じように食べていても太ってしまうという経験がありました。なんか自分の見た目が変わっていくので憂鬱になったりして……。

そういう身体的な違和感のほかに、精神的に、漠然と、何かが足りない感じがしていました」広告業界のコピーライターをやめ、自分のプロジェクトを起こしていこうと、ミュージシャンであるパートナーの仕事をプロデュースした。

その流れで訪れたアメリカでネイティブアメリカンの「スリーシスターズ」という混植農法を知り、共生する植物の世界に魅了された。

「音楽業界を知っているわけではなかったので、パートナーとのプロジェクトは一旦保留し、と同時に農への興味が芽生えはじめていました。一時期はスリーシスターズの翻訳本を手がけようとしていたんですよ」
 
その後、博子さんは八重山の布作りの現場や、稲作文化を追うようになった。

「30代の時に子宮頸がんになり、食べ物や暮らしを変えることで癒しました。これは、人生の中でとても大きな出来事でしたね。でも、40代になってわかったのは、あのときに、カラダのガン細胞は出したけど、まだココロのガンがあったというか、魂の問題があったんだと」
 
この気づきと行き交うように、「毎年同じことを辛抱強くやっていく、地道で美しい農の世界」に入っていった。農業関連の書籍の編集や染織作家らのキュレーションなどをする中でいつの間にか憂鬱さは消えていき、体調も安定していった。
「47歳の時に、あ、終わった、って感じました」

提供元

プロフィール画像

大人のおしゃれ手帖web

雑誌「大人のおしゃれ手帖」のオンラインメディア。50代女性が「今」知りたい情報をタイムリーにお届け。暮らし、健康、おしゃれをブラッシュアップするヒントがいっぱいです! 家事に役立つ知恵や、毎日の料理に活かせるレシピ、いつもごきげんでいられるための健康・美容法など盛りだくさん。人には聞きづらい更年期のお悩みに応える記事も充実しています。

あなたにおすすめ