
◆免許を取って妹を見下すようになった兄
車好きを公言していた朱里さんの兄・正弘さん(仮名)は、18歳になってすぐ免許を取得し、早々にお金を貯めて愛車を購入した。最初に購入したのは年式の古い中古車だったが、仕事が休みのたびに自分の手でピカピカに磨き上げるほど。「兄は車のことをとても大切にしていました。ただ、その愛が強すぎたというか……。免許を取ってからというもの『車に乗らないなんて人生の半分は損をしている』『免許を取りに行かないのは自信がないだけだろう』などと、鬱陶しいことばかり言ってくるようになりました」
朱里さんは都会で就職したこともあり、運転免許の必要性を感じず未取得。何度そのように話しても実家へ帰省するたびに兄は「実は免許を取りに行って何回も落ちているんだろう?」などと、免許を持っていない朱里さんを蔑むような発言を繰り返していた。
「もともと兄の態度には不満があったので昔から仲が良かったわけではありません。そして兄が免許を取得してからというもの、さらに不仲となり、私が帰省してもほとんど口を利かなくなっていました。そんなとき、とても嫌な体験をすることがあったのです」
◆兄の運転する車で始まった「恐怖のドライブ」
ある年の帰省時、駅まで迎えに来てくれる予定だった父にメッセージを送っても反応なし。電話をするも留守番電話へと切り替わってしまうという状況が続いていたところ、正弘さんから着信があり、もうすでに駅まで迎えに来ているのだという。「兄は、お父さんが急な腹痛で来られなくなったので自分が迎えに来たと言いました。正直ノリ気ではありませんでしたが、わざわざ迎えに来てくれている兄を断ってまで公共交通機関を使うのもどうかと思い、素直に送ってもらうことにしたのです」
ところが助手席に乗った途端「オレの運転を見習え!」「歩行者や自転車は図々しいヤツが多いからギリギリを狙って端に寄せてやればいい」など身勝手なことばかりを言う始末。自転車に幅寄せしていくなどを繰り返していて、嫌な気持ちになっていたという。
「そんなとき、兄がよく通る道に差し掛かりました。すると兄が舌打ち。『またあいつらか。邪魔なチャリンコ集団め!』とアクセルをふかし、前後に連なって走行する3台の自転車に幅寄せをしはじめたのです。結構スレスレまで寄っていって本当に危ない感じになりました」

