「患者さんが目指すゴールを支えていきたい」
──現職の山手クリニックに入社したのはいつですか?
正式な入社は2017年4月です。ただ、卒業後にここへ就職することが決まっていたので、学生時代からリハビリ助手としてアルバイトに来ていました。職場の雰囲気や流れに慣れておきたくて、在学中から働いていたんです。
国試に合格したあとの4月に出産をしたため、入社と同時に1年間の育児休暇をいただくことになりました。
──どうして山手クリニックを選ばれたんですか?
クリニックの方針に惹かれたからです。現役時代は整形外科ってあまり好きじゃなかったんです。診察に行くと「安静にしていなさい」「湿布と痛み止めで様子を見ましょう」で終わることも多くて。ここは「動きながら治しましょう」という方針なんです。来院される方にはパフォーマーやスポーツ選手も多くいらっしゃるのですが、ケガをしても治療しながら活動を続けたいという気持ちに寄り添っています。
もう一つ理由があります。理学療法士は通常、総合病院で幅広い疾患を経験する人が多いと思うんですけれど、私は年齢的に“下積みできる時間は多くない”と感じていました。だからこそ、経験を活かせる整形外科一本に絞ってここに来ました。気がつけば働き始めて10年になります。
──スポーツ選手やパフォーマーと一般の患者さんでは、リハのアプローチは違いますか?
対象によって違うというより、目的によってアプローチが変わる、という感覚に近いですね。パフォーマーには休めない事情があるので、患部そのものより“支える筋力”をまず徹底的に鍛えてもらいます。膝なら体幹・お尻・もも裏、股関節なら骨盤を支える筋肉のように、患部と連動する部分から整えていく感じです。
ラグビー、アメフト、柔道のようなコンタクトスポーツをされている学生さんもよくいらっしゃいますね。衝突や踏ん張り動作が多い競技なので、患部を守るために支える筋力がとくに求められるんです。結構きつい運動療法になるのですが、頑張ってトレーニングに取り組んでもらっています。
宝塚時代は身体を酷使していたので、ケガで思うように動けなくなる気持ちにも共感できますし、身体を使い続けるうえで陥りやすいポイントも、経験からだいたいわかるんです。
──宝塚での経験が活きているんですね。
そうですね。それに、今までいろんな役を演じてきたことが、患者さん一人ひとりを見る想像力につながっているとも思います。
──想像力とは?
患者さんと向き合ったとき、その方の生活や性格、人柄を含めて、この状態に至った背景を考えます。同時に、「こういう運動だったらリハビリを続けられるかな」「こういう言葉かけなら響くかな」と想像しながら関わるよう心がけています。
私たちは身体が良くなるようサポートする、いわば伴走者のような存在だと思っています。ご本人が日常の中でどう身体を使うかがとても大事で、そこを一緒に整えていくイメージですね。
──こうした考え方は、働く中で少しずつ形づくられていったんでしょうか?
最初は高齢者の方に対しても「運動したら筋力がついてラクに動けるのにな」と思うこともありました。でも、年齢を重ねるうちに、気持ちがあっても体がついてこない感覚が少しずつわかってきました。それからは、「どうしたらこの方が動きたくなるんだろう」「この方にとって負担にならない方法は何だろう」と考えるようになりました。
──これから先、堂園さんが理学療法士として目指したい姿はありますか?
パフォーマーとしての経験を生かしながら、患者さんそれぞれが目指すゴールを支えていきたいと考えています。
ケガをしたら休むことが理想でも、現実には簡単に休めない事情を抱えている人もいます。だからこそ、身体の状態だけを見るのではなく、その人が置かれている状況まで含めて考え、一人ひとりに合ったサポートができる理学療法士でありたいです。
取材協力:医療法人社団山手クリニック

