◆さらなる悲劇に襲われた

「女性はペットボトルを握っていた手を振り回したたため、ふたが外れて中身の飲み物が飛び出して私にかかったんです。冷たい飲み物だったため、やけどは免れたのですが、顔面から胸の辺りにかけて液体まみれになりました」
周囲の乗客が近寄らなくなるほど、修羅場と化していた後部座席周辺。冷静だった男性は、宮内さんの被害を確認し「大変申し訳ございません。すみませんが、次の停留所で一緒に下車してもらえませんか?」と、恐縮しながら聞いてきたといいます。
「こんなにひどい経験をしたのは生まれて初めてでした。額は痛いし、シャツは濡れるし……。とにかく唯一冷静だった男性の提案で私も一緒に次の停留所で下車しました」
◆結局途中下車してタクシー帰宅
さっきまで激昂していた女性も、下車したころにはすっかり我に返っていたみたいで、夫婦揃って平謝りだったそうです。その後すぐに男性は、たまたま近くにあった衣料店に走っていき、着替えのシャツを買ってきて、さらに財布から5,000円札を出して詫びたそうです。「さっきまで目の前で起こっていた夫婦喧嘩の過激なシーンがトラウマになって、なんだかまたバスに乗って家に帰ることがこわくなったので、タクシーで帰ることにしました」
その日以降、宮内さんは大好きなバスで帰ることをやめて、電車を利用することにしたそうです。
<TEXT/八木正樹>
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営

