いつまでも輝く女性に ranune
戦い抜いた現役時代が終わり、花束と共に退場…その先の“老後”を有意義に生きるため、60歳で「必ずやるべきこと」【作家・佐藤優氏の提言】

戦い抜いた現役時代が終わり、花束と共に退場…その先の“老後”を有意義に生きるため、60歳で「必ずやるべきこと」【作家・佐藤優氏の提言】

50代までは過酷な競争社会を勝ち抜くために、がむしゃらに走ってきたビジネスパーソンも、60代からは、ビジネス社会の価値観と競争原理から外れたところで自分の人生を再構築することになる。還暦を迎えた人たちが、人生の最終コーナーを回って自分のゴールを達成するためには、何が必要なのか?――本稿では、作家・元外務省主任分析官の佐藤優氏の著書『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる』(飛鳥新社)から一部を抜粋・編集し、現代の「老後の生存戦略」について解説する。

定年後に最優先すべきことは何か?を考える

まず定年になったら、自分の「したいこと」「やるべきこと」をそれぞれ5つずつ、リストアップしてみる。そこで重複しているものが、いまのあなたにとって最も優先順位の高い項目だ。

私の場合、「したいこと」の第一は神学論文を書くこと。それから、若い世代の教育に携わること。あとは買ったまま積んである軍用機などのプラモデルを数十個つくること。それから中学生のころ夢中になっていたアマチュア無線の免許を更新して、もう一度、やってみたい。さらに加えれば、もっと猫と遊ぶ、などなどである。

一方の「やるべきこと」……まず私は、抱えているいくつかの著作を完成させなければならない。それから大学や高校での教育活動。そして自分の健康管理。さらに、自分に何かあったときのために、家族の経済的な基盤を整えなければならない。

すると、「したいこと」「やるべきこと」の両方に共通するものとして「教育」というキーワードが浮かび上がる。私が優先順位の1位として取り組むべきは、若い人の教育ということになる。

定年後の人たちも、残りの人生で何にどのくらいの時間をかけるのか、じっくり考えるべきだ。それによって、一人一人の人生の価値が決まると言っても過言ではない。

行動範囲や人間関係を限定し、残りの人生を有意義なものに

本書を執筆している2025年前後に定年後の人生をスタートさせた人たちは、バブル時代を経験している。日本社会がエネルギーに満ちあふれていた時代を知っている。その時代だからこそ得られた豊富な体験や知識があるのだ。

ともすると、最近の若い人たちは内向きで活力がないなどと言われるのに対し、遊びも含めて、外へ外へと飛び出していった人が多い。

旅行でもグルメでも、この贅沢な体験が、現在の社会における衣食住のレベルを底上げしていると思う。たとえば、格安で知られるサイゼリヤのメニューがあれほど種類豊富で美味であるのは、バブル時代にグルメ志向を体験した人たちが、サービスを供給する側にも消費者側にもいるからだと、私は考えている。

目利きをする力や文化力があり、様々な物事の経験値が高いのが、現在、定年を迎えた人たち。その潜在能力を発揮すれば、やっとデフレから抜け出して賃金が上がりつつある日本社会を救うことができるはずだ。

そんな定年後の再スタートは、遠洋航海から港に帰ってきたときと同じである。そこで錨を下ろしたら、自分が培ってきた経験値や人生観で、己を固定するのだ。そうして、自分の行動範囲や人間関係を限定したうえで、残りの人生を有意義なものに変えていく。なんと素晴らしい時間だろう――。

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