◆日本のラテンアメリカ外交の現状
一時は多くの日本企業がベネズエラにオフィスを構えたが、現在、主力企業で駐在員が常駐しているのはトヨタや三菱商事など限られた会社だけだ。トランプ政権がベネズエラ攻撃に踏み切れば、欧州の次に中東に拡大した戦火の波は、西半球に飛び火することとなる。現在、ベネズエラの石油の流通量は限られているとはいうものの、ベネズエラはOPECの主要メンバー国だ。戦闘となれば石油をめぐる世界情勢が一段と緊迫化することとなり、日本国内の原油価格にも大きな影響を与える。ベネズエラ問題は、ラテンアメリカに対する日本のこれまでの姿勢が問われる問題でもある。ブラジルやペルー、そして規模の差はあれベネズエラにも日本人の集団移住がありながら、日本のラテンアメリカ外交は「お寒い」現状が続く。国際会議での訪問を除けば首相のラテンアメリカ歴訪は14年以降、実現していない。世界経済を大きく左右する地下資源があるにもかかわらず日本のビジネス界の関心は薄い。世論が見向きもしないのは日本のメディアが「遠い国々」と決め付けて、正面から向き合わなかったからだ。
「これで中国やロシアに勝てるはずがない」――ラテンアメリカ取材をするたびに感じることだ。ベネズエラ情勢を掘り下げれば掘り下げるほど、その思いが強くなる。
【谷中太郎】
ニューヨークを拠点に活動するフリージャーナリスト。業界紙、地方紙、全国紙、テレビ、雑誌を渡り歩いたたたき上げ。専門は経済だが、事件・事故、政治、行政、スポーツ、文化芸能など守備範囲は幅広い。

