リフォーム事業を行う会社の代表として、現場で数多くの修理や相談を受けてきた“エアコン名人” ことかわちゃん氏(@kawaken1985)に、トイレやエアコンの故障を招きやすい「誤った使い方」を聞いた。
◆「流せるシート」はトイレに流さないで!

「『流せるシート』は水に浸すことで徐々に崩れていくという仕組みです。しかし、軽く拭いただけのシートをトイレに流すと、完全に溶けるまでに時間がかかります。一見問題なく流れたように見えても、実は管のなかで残っていることがあるのです」
「流せるシート」の中でも、特に「厚手」や「丈夫」を謳うものほど気をつけるべきだと続ける。
「トイレットペーパーと違い、『流せるシート』には厚みと耐久性があります。厚手の商品ほど、排水トラップや曲がり角にひっかかり、詰まりの原因となりやすいのです。掃除用具などで詰まりを解消できれば良いですが、それが難しい場合、業者がポンプや高圧洗浄で取り除くことになり、少なく見積もって1万円以上の費用が発生します。一昔前のトイレは、便を流すために13〜20Lの水が使われていましたが、最新の節水型は3.8〜5Lと、およそ3分の1の水量となっているので、シートの詰まりにはより注意すべきです」
対策としては、「シートは流さずゴミ箱へ」を習慣づけるのが一番の予防策だと言う。
「流せるシート」を製造するメーカー側はどのような見解を持っているのか。
トイレ用掃除シート「トイレクイックル」を製造する花王に質問状を送付したところ、「『トイレクイックル』は、トイレットペーパーの日本工業規格の『ほぐれやすさ試験』による品質基準を満たしており、ご使用後にトイレに流せる製品です。トイレットペーパーと同等の水解性があることを確認しておりますので、正しくお使いいただければ、トイレのつまりの原因になることはありません。ご使用の際には、正しくご使用いただくようお願い申し上げます」と回答が寄せられた。
ほか、「流せるトイレクリーナー」を製造するシーズワンからは「十数年前に『消費者庁』からの通達で、JIS規格P4501『トイレットペーパー』の規格範囲以外は『流せる』を明記することは認められないとの発表がありました。よって弊社商品はそれに準拠した商品です」との回答があった。
◆トイレの節水技が「逆効果」に……

しかし、これも「トイレの詰まりを生みやすい行為」とかわちゃん氏は一刀両断する。特に、古いモデルで問題が発生するリスクが高いのだと言う。
「最新の節水型トイレは水流の遠心力を利用して水を流す設計ですが、古いトイレは水圧そのもので流す仕組みであることが多い。後者のトイレにペットボトルを入れ、水量を減らしてしまうと、水圧の流れが弱まり、詰まりの原因になるのです」
自己流の節水策をトイレで行うのは危険だと心得ておこう。

