◆残暑があなたの自律神経を狂わせる
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9月中旬、都内。暦の上ではとうに“白露”を迎え秋の気配が深まるはずだが、気温は30℃を超える日々が続いていた。
会社員の林剛史さん(仮名・48歳)は、外回りの途中に立ち寄ったコンビニで、レジに店員がいなかったことに声を荒らげた。自分が激高したことに驚き、ひどく落ち込み、涙すら浮かんだという。
「暑さで食欲もないし、寝つきも悪い。夏バテが悪化したのかと内科を受診しました。ところが医師からは心療内科を勧められたんです」
林さんにはメンタル疾患の既往はなかった。「まさか自分が」と驚きを隠せなかった。
だが、パークサイド日比谷クリニック院長で精神科医の立川秀樹氏は語る。
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「五月病」や「冬季うつ」はよく知られているが、夏にうつの症状が出るのはなぜか。
「最大の要因は酷暑による強烈なストレスです。暑さそのものが体にダメージを与えるだけでなく、日頃から仕事のプレッシャーや家庭問題などを抱えている人ほど、そこに“酷暑の一撃”が加わり、うつ状態に陥りやすいのです」(立川氏)
◆インドなど暑い地域で多く報告される疾患
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「自律神経には、昼の活発な時間帯に優位となる『交感神経』と、夜などのリラックス時に優位となる『副交感神経』があります。ところが強いストレスが続くと昼夜問わず交感神経が優位な“過覚醒”状態に陥ってしまう。頭が興奮して休まらず、緊張が続き、感覚も過敏になります。結果、脳疲労が起こり、うつ状態へとつながるのです」(同)
だが、こうしたストレス要因がなくても、毎年夏にうつ症状が出る人もいる。早稲田メンタルクリニック院長の精神科医・益田裕介氏はこう指摘する。
「季節性情動障害(夏型)と呼ばれ、酷暑にさらされなくても、クーラーの効いた部屋で過ごしていても症状が出る人が一定数いる。インドやジャカルタなど熱帯地域で多いとの報告もあります。毎年夏に重い不調が出る人は、医療機関の受診を検討してみてください」
「夏うつ」の症状は気分の落ち込みだけではない。立川氏は次のように警鐘を鳴らす。
「夜も過覚醒が続くため睡眠の質が悪化し、眠れない・途中で目が覚める・長時間寝ても疲れが取れない、といった状態に陥ります。さらに胃腸の不調や口の渇き、微熱など自律神経由来の症状も多い。夏バテは体の疲労が中心ですが、夏うつは心身両方に不調が及ぶのが決定的な違いです」
益田氏も行動面の変化に注意を促す。
「特に男性では、うつが怒りや攻撃性として表れるケースもあります。急にSNSで攻撃的になったり、駅員に怒鳴りつけてしまうなど、普段と違う言動が出たら要注意です」
自分の症状は夏バテか、それとも夏うつか――。記事末尾のセルフチェック表で確認してほしい。

