◆融資の鍵は「金融機関が中心」という考え方
生稲氏の投資スタイルの最大の特徴は「融資を積極的に活用する」点にあるが、融資戦略において、「中心は投資家ではない」という逆転の発想を提唱する。「良い物件を投資家が探すのではなく『実は金融機関が中心』であり、貸し手である金融機関が借り手と物件を評価して初めて融資のチャンスが生まれます。この視点を持つことで、決算書の内容など『銀行からどう見えるか』を意識できるようになります。一般的な物件探しのスタイルとは異なり、『事前に自分が銀行からどう評価されているのかを把握し、その評価に合った物件が出てきた時に当てにいく』流れが重要です」
レバレッジ投資の最終目標は、銀行から「事業家」として評価されることだ。そのために不可欠なのが「市場調査と事業計画書」であると生稲氏は強調する。収益が不安定と見られがちな宿泊業において、銀行の不安を払拭するには、数字の「なんとなく」を排除する必要がある。
「根拠を持った市場調査・競合調査をした上で、それに基づいた事業計画書を立てることで、銀行は安心します。この事業計画書を徹底的に作り込むことで、経験の有無にかかわらず、他の事業者との差別化を図れるのです」
◆民泊旅館投資を取り巻く市場環境と今後の展望

民泊が世界で最も拡大している宿泊カテゴリーである理由を、「ホテルが解決できない『地域の観光需要に対してスピーディーに展開できない』という問題を解決しているから」と分析。今後、競争が激化する中で、リスクを管理し、「他の人から見えているリスクが自分にとっては『解決できるリスク=ノーリスク』という状態を作っていく」ことが求められると展望を語った。

