擬態
有毒で、羽の模様に特徴のある蝶Aがいる。Aは生存に有利なんだけど、それに便乗するような形で、Aに擬態する無毒な蝶Bが発生する。捕食者からしてみれば、「A、Bともに危険」となり、Bは毒を持たずして繁栄する。
Bが少数派のうちはそれで良いのだけど、一定の割合を超えると、捕食者が“食べられる模様”と認識し始め、擬態が破綻し、BだけならまだしもAまでとばっちりを食う。これを「ベイツ型擬態」と呼ぶらしい。

似合う
4つ続いた連載の最終回。明日が雪なら「無し」が「有り」になってしまう、気まぐれな「似合う」の性質について、その後いくらか煮たり転がしたりしてみたのだけど、無理に事例を増やしても、かえって思索のブレーキになると思ってやめた。またしばらくは、制作のなかでその断片を集めて、いつか続きが書けたら。
ファッションデザイナー 長見佳祐

ながみ・けいすけ/1987年広島生まれ。〈HATRA〉デザイナー。衣服を、境界状況的な空間と捉えた「リミナル・ウェア」を提案する。3Dクロスシミュレーション、生成AIをはじめとするデジタル技術に基づく制作手法を確立し、様々なリアリティが溶け合う身体観をデザインする。近年は、渋谷慶一郎氏による『ANDOROID OPERA TOKYO』への衣装提供、石川県の金沢21世紀美術館「DXP2」展でのインスタレーションなど、その活動領域を拡げる。2025年の『TOKYO FASHION AWARD』を受賞。

