
飛行機のトイレや厨房、座席シート。実は、その多くがある日本企業によって作られていることをご存じだろうか。その名は「ジャムコ」。ボーイング社のワイドボディ機向け化粧室で独占供給を誇る、世界シェア50%のグローバル・ニッチトップ企業だが、2025年7月にある理由から「非上場」に。田宮寛之氏の著書『日本人が知らない!! 世界シェアNo.1のすごい日本企業』(プレジデント社)より、さらなる高みを目指すジャムコの成長戦略を読み解く。
厨房、トイレ…機内の“快適”を支える「ジャムコ」
会社データ
・本社……東京都立川市
・売上高……789億円
・純利益……42億円
・資本金……53億円
・創業年……1955年
・従業員数……2723人
・上場市場……非上場
(業績は2025年3月期)
航空機の内装品を製造するジャムコは、中・大型旅客機用の厨房設備の世界シェアは40%、化粧室の世界シェアは50%に達するメーカーだ。
厨房設備は航空機メーカーではなく、航空会社がどの製品を導入するかを決める。機内食の内容は航空会社の重要な戦略なので、各社ごとに厨房設備の仕様はさまざまだ。航空機の型式が同じでも厨房設備は同じではない。ジャムコは世界の航空会社約100社に厨房設備を納入している。
化粧室はジャムコが航空機メーカーに直接納める。航空機の型式が同じなら、航空会社が異なっていても同じ型式の化粧室が設置されている。ジャムコはボーイング社との関係が強く、ボーイング社のワイドボディ機(機内に複数の通路を持つ航空機)に搭載されている化粧室は、すべてジャムコ製だ。
1955年、航空機の整備会社としてスタート
ジャムコは1955年に伊藤忠航空整備株式会社として設立された。当初の事業は航空機の整備と修理だった。
1970年に日本航空と全日本空輸が資本参加し、同年に全日本空輸からボーイング727‐200用や737用の厨房設備と調理用機器を受注した。ここから航空機用内装品の開発・製造が本格化する。1979年には厨房設備での実績が認められてボーイング社から化粧室を受注した。
当時は機内で化粧室を組み立てる方式が一般的だったが、ジャムコはあらかじめ工場で化粧室を完成させた上で、機内に据え付けるユニット工法を採用。短い工期で作業を完了し高い評価を得て、その後は技術力と工期の正確さなどを武器に実績を積み上げていった。
