◆警察沙汰になるが、懲りずにまた…
当然、すぐに警察の知るところとなる。「サイバーポリスが客のふりをしていて、あっという間に取引の当日に警察官に囲まれ、連行されました。スマホのデータを警察のパソコンに吸い上げられ、自分のスマホの前で指を指しながら写真を撮られたりしました。その日は両親から『なんでそんなことしたの?』と聞かれましたが、基本的には世間体が大切で事なかれ主義の2人なので、その日以降は、事件のことに触れずに忘れたように過ごしていました。
補導されたことによって、私はサイバーポリスのやり口が理解できたため、メールをくれた男性が本当の客かどうかを見抜く方法に気が付きました。その甲斐あってしばらくは引っかからずに済んだのですが、私が売り買いをにおわせる書き込みをしていたため、中2の朝に家宅捜索が入りました。これは少年審判まで行きました」
◆家出して渋谷をふらふらと歩いていたら…
当時、日常のつらさからリストカット痕がはっきりと聡乃さんの身体には刻まれていたが、それを指摘する警察官はいなかったという。両親もまた、徹底して事件をなきものとして扱った。「家にいなくていいなら、少年院でもいいかなと一瞬思った」ほど追い込まれた聡乃さんの内なる叫びは誰にも届かなかった。「中学生時代は本当につらかったと思います。とにかく家から出たくて、知らない夫婦の家にピンポンをして『家に置いてくれませんか』なんて言って話を聞いてもらったこともあります。話は丁寧に聞いてくれましたが、もちろん家に戻されました」
聡乃さんは孤独を深めていった。
一時は非行に近いことに手を染めたが、中3から奮起して勉強し、進学校へ合格。だがほどなくしてまた陰鬱な気持ちが押し寄せてくる。
「自分が頑張れば、家族が変わるのではないか。そんな希望を見出そうとしかけたこともありました。でも、両親は自分たちのことにしか興味がなくて、子どものことに根本的に関心がありません。再び学校へ足が向かない日が続いたのですが、そのときさえもはや両親が何も言わず、私のなかで何かが弾けました。
中学生のときにネットのおじさんたちからもらったお金がまだ残っていたので、それで東京の渋谷を目指しました。ふらふらしていると、道行くおじさんが『お金困っているんでしょ?』と近づいてきて、そのままホテルに行きました。結局、静岡には戻ったのですが、私は通っていた進学校を退学し、通信制の学校に通うことにしたんです」

