いつまでも輝く女性に ranune
「退職してもらうきっかけがない…」定年廃止の企業から”後悔の声”が多発する理由

「退職してもらうきっかけがない…」定年廃止の企業から”後悔の声”が多発する理由

人生100年時代。「人生最後の職場を探そう」と、シニア転職に挑む50、60代が増えている。しかし、支援の現場ではシニア転職の成功事例だけでなく、失敗事例も目にする。シニア専門転職支援会社「シニアジョブ」代表の中島康恵氏が、「定年廃止」企業の実情とホンネを解説する。

◆■わずかな「定年廃止企業」にニーズが集中

シニア専門転職支援会社「シニアジョブ」代表の中島康恵氏
少し前までは「60歳定年」が当たり前、今でも「60歳定年・65歳まで再雇用」の企業がまだまだ多い中で、「70歳定年」や本人が辞めたくなるまでずっと正社員でいられる「定年廃止」の企業のインパクトは大きく、老後もずっと働きたい人にとっては、とても心強い制度だ。

しかし、定年廃止の企業に転職できたからといって、それで老後も安心、とはならないので注意が必要だ。実は、定年を廃止したことを「後悔する企業」も出ている。

その理由を話す前に、まず定年廃止を含めた日本企業の定年制度が現在どうなっているのかを説明しよう。

日本では長らく「60歳定年」が一般的だったが、年金の受給開始年齢の引き上げにともない、2013年から65歳までの雇用確保が企業の義務となった。2025年3月31日までは経過措置があったが、現在は経過措置が終了し、全企業が全社員、65歳までの雇用確保が義務付けられている。

しかし、企業の義務となったのは「65歳までの雇用確保」で、「65歳定年」が義務付けられたわけではない。

企業は、定年を廃止してもいいし、定年を65歳以上に引き上げてもいいし、定年は60歳のままで何らかの形で65歳まで継続雇用してもいい法制度となっている。多数派は「65歳までの継続雇用制度導入」で、つまり、60歳で定年を迎え、その後は契約社員などとして65歳まで再雇用、というパターンだ。

厚生労働省の「高年齢者雇用状況等報告」(令和6年)によれば、「60歳定年」の企業が64.4%ともっとも多く、「65歳定年」の企業は25.3%、「定年が70歳以上」の企業は2.4%、「定年廃止」の企業は3.9%なので、「定年が70歳以上」と「定年廃止」を合計しても70歳まで定年を迎えずに働ける企業はたった6.3%と少ないことがわかる。つまり、長く働き続けたい人が、わずかな「定年が70歳以上」「定年廃止」という企業に集中しているのが現状だ。

◆■しがみつくシニアが多くて「定年廃止」を後悔?

筆者経営のシニア専門の求人サイトや人材紹介サービスでも、こうした「70歳定年」や「定年廃止」の企業への転職希望者が増え、60代だけなく、中にはまだ定年前の50代前半から、あらかじめ「定年廃止」の企業に転職しておきたいという人もいるほどだ。

ところが、「定年廃止」へと制度変更した企業の一部では今、「定年廃止」したことを後悔する企業もあると聞く。それは、当初の予想以上に働くシニアの能力や体力が落ちてしまい、それでもなお、シニア本人に辞める意思がなく、「定年廃止」にしたために退職してもらうきっかけがないためだ。

確かに、シニアを採用・活用する企業が増えているとはいえ、まだ転職・就職が難しいシニアも多く、「定年廃止」の会社で正社員にしがみつくシニアは少なくないだろう。

「病気がち・休みがちで稼働率が低い」「仕事をしてもあまり成果を出せない」それでも自分からは絶対に辞めるとは言わないーー。そんなシニアが正社員の立場にしがみついているとすれば、企業が後悔していても不思議ではない。


配信元: 日刊SPA!

提供元

プロフィール画像

日刊SPA!

日刊SPA!は、扶桑社から発行する週刊誌「週刊SPA!」が運営するニュースサイトです。雑誌との連動はもちろん、Webオリジナルの記事を毎日配信中です。ビジネスマンが気になる情報を網羅!エンタメ・ライフ・仕事・恋愛・お金・カーライフ…。ビジネスタイム、プライベートタイムで話したくなる話題が充実!

あなたにおすすめ