◆■「定年廃止」で成功する企業もある
もっとも、「定年廃止」に必死でしがみつくシニアによって組織の新陳代謝が止まることは容易に想定できる。後悔するのは企業側の準備不足という問題も大きいだろう。弊社サービスでも「定年廃止」の企業を紹介しているが、とある会社では70代でも正社員を積極採用しているし80代や90代まで活躍している。その背景には、入社後のシニアとの面談を欠かさず、シニア本人も納得の上で、能力や体力に応じて柔軟に雇用形態を変化させていることがある。
田追えば勤務日数や勤務時間を短縮したり、責任を軽くしたり、体力的な負荷の少ないデスクワーク中心に業務を変更したり……。さらに正社員からパート・アルバイト(契約社員)に雇用形態を変更したり、もっと勤務の頻度を下げたい場合は業務委託に変わる制度を設けていた。加齢や能力、ライフスタイルの変化に合わせて雇用形態を変化させているおかげで、正社員の立場にしがみつくといったトラブルや、大きな不満の発生はないようだった。
もちろん、似たような制度を導入しても、業界や規模、運用側や働くシニア個々人の性質によって必ずしも同じ結果になるとは限らない。しかし、「定年廃止」をするならば、柔軟な制度や細かい対応と評価はセットで考えなくてはいけないだろう。
【中島康恵】
50代以上のシニアに特化した転職支援を提供する「シニアジョブ」代表取締役。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓う。シニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中

