◆「大きな絶望感に襲われた」面接官の言葉
私は「気になったことを放置できない」性分である。それゆえに、これまで挑戦してきた分野が幅広く、多様な経験は自分のひそかな武器でもあった。しかし、選考を受け続ける中で、この価値観を真っ向から否定される経験をしたことがある。•色んなことに手を出すのが、かっこいいわけではない。
•君がしたいこと、してきたことは私には理解できない。
•結局のところ、何がすごいのか全く分からない。
上記は、どこか鼻で笑うような態度でぶつけられた言葉の数々である。面接のために夜行バスで東京まで足を運んだというのに、こんなことを言われるためだけに、わざわざ東京へ行ったのかと思うと、大きな絶望感に襲われた。
「何しに東京まで来たのだろう」「これまで自分がやってきたことは一体何だったのだろう」という思考に苦しみ、面接後は食事が喉を通らないほど落ち込んだ。憂さ晴らしに、帰りの夜行バスの時間までお酒を飲み続けることしかできなかった。
振り返ると、あの面接官には、私の挑戦が“全部中途半端”に見えたのだろうと思う。もちろん常に全力で取り組んできたが、そう受け取られても不思議ではないと、今なら冷静に理解できる。
ただ、今後の人生が懸かった当時の私にとって、これまでの人生を全否定されたと感じるほどに心をえぐられた体験である。そして、こうした精神的なダメージだけでなく、交通費の支給がないことによる金銭面の負担も追い討ちをかけた。
◆“交通費貧乏”に苦しむはめに
実は、面接の結果にかかわらず、学生が交通費を負担するケースは珍しくない。地方に住んでいる私は、東京開催の選考へは夜行バスを利用していた。金額を抑えて地元と東京を往復できる点は大きなメリットである。しかし、塵も積もれば山となるとはこのことで、毎週のように東京へ行く生活が3~4カ月続くと、お財布へのダメージは想像以上。
特にエンタメ企業においては、交通費が支給されない傾向が強い。業界人気の高さから、支給しなくとも志望者が多く集まるのだろう。私も“集まる側”の1人だった。これはインターンシップへの参加に向けた選考も同様で、金銭面から応募を断念したことが多々ある。
そして本選考では採用人数は限られ、選考フローも長い。終盤の選考ともなれば交通費が支給されるケースもあるが、とはいえ、それまでの選考でかかった交通費が戻ってくることはない。そのため一つの企業に対し、学生は相当な額をかけることになるのだ。
アルバイトで必死に稼いだお金が、夜行バス代に加えて東京での飲食代としてどんどん溶けていく。少しでも外食代を抑えるために、牛丼ばかり食べていた。

