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健康に過ごしていても、突然病気になるリスクは誰にでもあります。病気によっては、生活が一変してしまう人も少なくありません。
熊本県在住の横田久世さん(47)は、40歳で突然発症した病気により両手足の切断を余儀なくされました。しかし、大きなハンデを背負いつつもマラソンに3度挑戦し、2024年に42.195kmを完走しました。
Instagramでは「ポジティブ番長」としてキャッチボールやサウナなどのアクティビティにチャレンジする様子を投稿。ポジティブなメッセージが反響を呼んでいます。
今回は久世さんに、病気の発症やマラソンを始めた経緯、ポジティブでいられる秘訣を伺いました。

◆突然の発症と切断まで
――両手足を切断された経緯について教えてください。久世さん:40歳で「電撃性紫斑病」を発症したのがきっかけです。肺炎球菌が何らかの原因で血液中に入り、血の巡りを止めて先端から壊死していく病気です。
私たち中年層は免疫を持っているのでほとんどの場合対処できますが、私の場合は、たまたま疲れていたか免疫が落ちていたかで、菌が入ってしまいました。
――入院に至るまで、どれくらいの期間がありましたか?
久世さん:1日です。今まで感じたことのない寒気がしたのですが、これまで風邪で寝込むことすらないほど健康だったので、寝ていれば治るだろうと思っていました。ところが、翌日もきつくて主人に病院に連れてってもらったら、胃腸炎と言われました。
しかし、今度は顔に斑点が出始めたうえに、両足が痛くなったんです。救急病院のロビーで痛い痛いと叫んでいたら、救急の先生が出てきてベッドに乗せてくれました。そこから10日間意識不明でした。
そして、少しずつ意識が戻ってくる中で「切断します」と聞かされました。
◆指先が真っ黒に変色していた

久世さん:受け入れる受け入れないよりもまず、自分に何が起こっているのか分からないんです。でも、指を見たら真っ黒で折り曲がっていて「ああ、もうこれダメだ」と思いました。
家族にはインフルエンザ流行期間の10分の面会時間で「切断することになった」とだけ伝えました。
切断後は死ぬほど痛かったです。それを手と足とで2度経験しました。入院から退院までの治療費は、70万〜100万ぐらいかかったと思います。

