
◆ずっといじめられていた学生時代
――幼少期から虐待を受けて育ったとうかがいました。ゆき:はい、事実です。父はアルコール依存症、母からはスパルタ教育を受ける環境に生まれました。都内の、一般には山の手と呼ばれるエリアです。よく「実は金持ちなのではないか」とネットで難癖をつけられるのですが、邪推なんです。給食費も支払えず、いつもボロボロの洋服を着ていて。父が作った借金な多額だったらしく、いわゆる闇金の取り立てが家に来ていました。また、小学校から高校までずっといじめを受けていたんです。
――どのような類のイジメですか。
ゆき:殴る、蹴る、首を絞められる――などでしょうか。もっとも、家庭においてもそのような仕打ちを受けているので、どこにいっても自分は疎まれると思っていつも悲しい気持ちでいました。
――現在、ご実家とのご関係はいかがでしょうか。
ゆき:19歳で家出をし、水商売で生計を立てていました。学歴も職歴もない人間を受け入れてくれるのは、そうした業種しかなかったからです。ただ、当時の19歳は未成年なので、何度か親に連れ戻されたことがあります。そこで20歳で夜逃げ同然で家を出て、住民票の閲覧制限をかけたんです。これによって、親は私がどこにいるのかわからなくなり、現在に至ります。
◆結婚して「実家の仕打ち」の酷さに気づく
――ゆきさんはストリートピアノミュージシャンですよね。いつからピアノをやられているのでしょうか。ゆき:3歳からです。ただ、家にあるのは安物の電子ピアノでしたし、週に1回のレッスンに何とか通っていた感じだと思います。当然、発表会に着ていくドレスもなくて、制服で出たりしていて、当時の惨めな気持ちをまだ覚えています。実は夫との出会いもストリートピアノなんです。21歳のとき、演奏が終わって、声をかけられて。
――そうなのですね! おめでとうございます。ゆきさんは現在、ご実家と絶縁しているとのことですが、旦那さんのご家庭と比較していかがですか。
ゆき:ありがとうございます。旦那のご両親は私にとても親切にしてくれて、率直に「うちと大違いだ、こんないい家庭があるなんて」と思いました。私は19歳で家出をするまでは、奴隷同然の扱いを受けていました。父は朝から晩まで飲んだくれていて酔っ払っているので、そのほとんどは母からの仕打ちですが。そうした家庭しか知らない私にとっては、かなりの衝撃でしたね。

