いつまでも輝く女性に ranune
「“奴隷同然の扱い”を受けてきた」軽度知的障害(IQ60)の25歳女性を直撃「家庭を持つのが怖かったけど…」結婚に踏み切るまで

「“奴隷同然の扱い”を受けてきた」軽度知的障害(IQ60)の25歳女性を直撃「家庭を持つのが怖かったけど…」結婚に踏み切るまで

◆1年間の交際期間を経て、結婚を決意

――家族を築くことに抵抗はなかったですか。

ゆき:かなりありました。たとえ子どもを産んでも、虐待をしてしまうのではないかと悩んだこともあります。自分の家と同じような家庭を作ることになったらどうしよう、とはずっと思っていましたね。でも、1年間の交際期間で、「この人と家庭を作りたい」という思いが強くなっていきました。

――いま幸せそうで安心しました。

ゆき:良い家庭を築けたことで、生活面でも精神面でもよくなったとは思います。昔の生活を抜け出せたことの安心感もかなり大きいです。ただ、過去を思い出してフラッシュバックすることがしばしばあるので、気持ちに折り合いをつけるため、旦那に助けてもらうことがたびたびあります。

◆働きたいなとは思いつつ、働けない

――日常生活で困りごとはありますか。

ゆき:たとえば私は肩書としては専業主婦になるのですが、働きたいなとは思いつつ、働けません。これは、過去にアルバイト先などで差別にあったりからかわれたりしたトラウマがあるからです。大声で怒鳴られたり、胸ぐらを掴まれるなどの暴力行為もありました。社会人になったらそうしたことはないと一般には思われていると思うのですが、知能指数が低くて「何をしてもいいやつ」だと思った瞬間に粗暴な行為をする人間はいるんです。社会生活を送りたくても送れない、というのはストレスになります。

――そのような状況のなかでも、これからの展望などがあればお願いします。

ゆき:今やっているストリートピアノをやっていきたいという思いはあります。人の感情を高揚させるような演奏ができたとき、とっても嬉しくなるんです。また、そうした活動の発信も続けていきたいですね。

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 もっとも身近で頼れるはずの両親から虐げられて育ったゆきさんは、何かと標的にされやすい。徹底して軽んじられ、雑な扱いを受ける。だがひとりの男性が転機となった。配偶者に出会ったストリートピアノで、これからもきっと幸せの音色を奏でる。

<取材・文/黒島暁生>

【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
配信元: 日刊SPA!

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