階段を上がるほどに広がる、空間のつながり


階段を上がると、2階ロビーへ。少し濃い色味の木質フローリングと建具、黒いフレームの階段手すりが組み合わさり、落ち着きのある大人の空間が広がります。
さらに3階の階段上り口付近からは、1階エントランス横のドッグランスペースを見下ろすことができ、上下階が視覚的につながる構成に。縦桟を主体としたフェンスデザインが、空間にリズムを与え、機能性とデザイン性を両立しています。
緑を眺めながらくつろぐ、特別な水まわり空間


2階ロビーのドアを開けると、そこには屋外の緑を望めるジャグジー空間が現れます。ジャグジーの手前にはシャワールーム、その奥には洗面スペースが配置され、水まわり全体がひとつのリラクゼーション空間としてまとめられています。視線の先に常に緑が入ることで、室内にいながらも屋外とのつながりを感じられる設計です。

トイレ空間も印象的でした。スタイリッシュな水栓と浅めの洗面に合わせ、壁面にはヘキサゴンタイルを採用。花のように広がるパターンがアクセントとなり、グレーイッシュトーンが空間に上質さをもたらしています。
緑とともに暮らす、ワンフロアのLDK


1階は、キッチンからダイニング、リビングへと一直線につながる開放的なワンフロア構成。エントランスロビー脇の吹き抜けドッグランスペースを通ってリビングへと至る動線は、この住まいならではの特徴です。
リビングと並ぶダイニング、その左手に配置されたキッチン。それぞれの空間が緩やかにつながり、どこにいても窓越しに緑を感じられるため、室内全体がのびやかで心地よい印象に。建築の構造、暮らしの動線、そして屋外の緑。そのすべてが自然に結びつくことで、人も、愛犬も、無理なく心地よく過ごせる住まいがかたちづくられていました。


まとめ|建築と緑が心地よさをつくる、ということ
この住まいのメインガーデンで印象的だったのは、オリーブやミモザといった樹形の美しいシンボルツリーを軸にしながら、全体をゆったりと見せる植栽構成です。
中低木や下草は、すべてを覆い尽くすのではなく、あえて土の見える余白を残しながら自然風に配置。そのことで、庭に奥行きと呼吸するようなリズムが生まれていました。
また、緑は見た目の美しさだけでなく、暮らしの環境そのものにも働きかけます。樹木があることで風の通り道ができ、植栽の蒸散作用によって周囲の温度が和らぐ。さらに二酸化炭素を吸収し、酸素を放出することで、住まいの空気をやさしく整えてくれます。
この家が心地よく感じられる理由は、「たくさん植えているから」でも、「珍しい植物を使っているから」でもありません。建築の構造や素材と、緑の量・種類・配置が、最初から一体として考えられていること。それこそが、長く快適に暮らせる庭と住まいをつくる鍵でした。
これから家づくりや庭づくりを考えるとき、どんな植物を植えるかと同時に、「この建物に、どんな緑が似合うのか」そんな視点を持ってみる。
そこから、自分らしく、ゆったりと過ごせる住まいがきっと立ち上がってくるはずです。
設計:株式会社スリーパワーユニット+ケイズアーキテクツ一級建築士事務所 山下弘治
LLCデザインルーム
まつした・たかひろ/長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、大手ハウスメーカーやエクステリア業のセミナー企画、講師を行う。
2007年出版の『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』の改訂版として、新刊『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』が大好評販売中! 色の知識、住宅デザイン様式に合わせたエクステリア&ガーデンデザインとカラーコーディネート、プレゼンシートのレイアウト案など、多岐に渡る充実の内容! 書籍詳細はグリーン情報ホームページから。
著書
『住宅エクステリアのパース・スケッチ・イラストが上達する本』彰国社
『気持ちをつかむ住宅インテリアパース・スケッチ力でプレゼンに差をつける』彰国社
『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』グリーン情報 など他多数
